「引っ越し」が猫との暮らしのきっかけに。
数年前まで、自分の人生にその言葉は影も形もなかったのに、いまは暮らしの全てに、頭の片隅に、いつも「猫」が存在している。
7年前、アトリエを構えたくて、いまの場所に越してきた。
地面が見える、静かな細い道に面したアトリエの窓の外には、気がつくといつも猫が歩いていた。雨の日も、雪の日も、猛暑の中も必死に生きるその子たちのひたむきな姿に心を打たれたし、所作や表情の可愛らしさにすっかり魅了されてしまった。
一方保護猫活動を長年している友人がいたこともあり、家族を探している小さな猫をわが家に迎え入れることに決めた。
初めての動物との暮らし。夫婦二人暮らしの中に新しい風が吹いた。
楓ちゃん(楓一/フウイチ/オス)
白地にサバ柄の大きな水玉を背負っている。鍵しっぽ。
肉球はピンク。耳の中もピンク。目は大きくてまん丸クリクリ。大らかな、ちょっとおとぼけキャラ。おっとりしているけど意思は強く、こうと決めたらやり遂げるタイプ(壊すまで掘る、など)。
おしゃべりが好きで、人も好き。好奇心が旺盛で、健康(いまの所)で食べることが大好き。
何より私のことを大好きでいてくれている。常に追いかけて、一緒に居たいと言ってくれる。まるで恋人のような存在(笑)
具合が悪い時は必ず横に添い寝してくれ、悲しい時は慰めてくれる(ただし痛い時は知らんぷり)。怒っている時は、それなりにいたずらをする。なんだか人と暮らしているみたい。意思の疎通がそこにはある。
みいちゃん(水木/ミズキ/オス)
楓ちゃんが家族になってから半年後に、みいちゃんを迎えた。
白地に茶トラ柄。茶色い部分はクジラの形なのでこっそりクジラ12号と呼んでいる。肉球も耳の中もピンク。鍵の形の鍵しっぽ。思い描いていた猫そのまんまの顔立ちで、いまもまだ赤ちゃん顔。
みいちゃんも無邪気で懐こい子で、ゲージに入れて段階を踏む間も無くふーちゃんに紹介しても、瞬時に仲良くなってた。とにかく楓ちゃんを兄と慕い、大好きな模様。
トイレも随分間違えたし、アレルギーが目に出るし、くしゃみをするし、食べる量を間違えるとすぐ吐くし、デリケート。目薬を持って追いかけたからか、すっかり警戒心の強い子になってしまった(いまも)。でも、だれよりも甘えん坊。多分、私のことが大好きで、トイレまで追いかけてくるけど、話しかけると逃げていく。
高いところが落ち着き、狭いところが大好き。遊びが好き、夜はおたけび走り回る猫らしさを持つ。お客さまが苦手で全く姿を表さない繊細さがあり、飼い主にはそれもたまらない魅力。
(私の)足の間で眠っている時、1時間動けなくなるほど可愛い。愛情深いのに控えめでさっぱりとした性格だから一緒に暮らす私のメンタルはとっても楽。
2匹の猫の特技は……
こんな2匹の猫は相当仲良し。一緒にいる姿に心から癒される。なんで?! というくらいにいつもシンクロしている。
猫と暮らすというのは飼い主としては少々体力がいるし、かなりの時間とお給料を奪われる。
でもいつまでも元気でいて欲しくて一緒にいたい。動物のピュアな心に触れ、心は日々温もりで包まれ、人としての反省が絶えない。人生を豊かにしてくれる。
出会えてよかった、ありがとう楓ちゃん、みいちゃん。
本間節子(ほんま・せつこ)
お菓子研究家。
自宅で少人数制のお菓子教室「atelier h」を主宰。ほか、雑誌や書籍でのレシピ提供やイベントなどで活躍中。著書に『やわらかとろける いとしのゼリー』(主婦の友社)など。
Instagram:@hommatelierh