予定ギュウギュウの旅もいいけれど
旅の話が続きます。
今までは予定ギュウギュウの慌ただしい旅をしてきました。
パリは買い付けが目的だからまだ暗い早朝から行動、国内もイベントなど何かしら目的があって行くから一日なにも予定がないことはまずない。
まぁ予定ギュウギュウの旅でも旅すること自体が大好きだからまったく苦ではないけどね。
先日福岡のイベントに声をかけていただいた時、前々から泊まってみたいなと思っていた糸島のホテルの予約がとれてそちらに前泊。
何も予定をいれず海辺のホテルで時間を過ごしました。
でもそれは意図したわけではなく元保養所だったというホテルの周りには何もなかった……から。
ハンモックに包まれながら波のダンスをずっと眺めるだけ。
旅先でこんな“何もしない”という贅沢な時間の過ごし方をしたのはもしかすると初めてだったかもしれないな。
後日、旅のトークイベントで「かおりさんがこれから行きたい場所は?」と質問された時、この糸島の旅が真っ先に頭に浮かびました。
何もしないという実は贅沢な心と頭の中の洗濯の旅。
ワインを飲みながら夕食の時間を待って、おいしい食事のあともテラスで風の音を聞きながらだらだらとワインを飲む。浴槽に湯をためてとろけ、眠くなったらベッドに入る。
翌朝は朝食の時間まで海辺を散歩して心と頭はゆるゆるっと緩みました。
ゆっくりする時間が、気持ちの余裕に
友人との約束が頭からスッコーーンと抜けて遅刻しちゃったり、スケジュール帳に書くこと自体を忘れちゃったり、最近のわたしはちょっと頭と時間がパンパンだったからほんと必要な時間でした。
そろそろ旅の形、旅先での過ごし方を見直す時なのかもね。
でもそれは、もう若い時のような旅ができなくなるの? という悲観的なことではなくて逆です!
今だからできる大人旅。
せっかちな性格で家でも外でもじっと止まっていられない人だからちょっと訓練が必要かもしれないけどね。
いつもの場所から離れると『いつも』の良さに気づきます。
大切なのは『いつも』に感謝する気持ちの余裕。
余裕がないと感謝って忘れがちだもんねっ。
糸島のbbb hausさん、いい時間をありがとうございました。また違う季節にぜひ訪れたい。
次はぜひ2泊したいな。いや、しよう!
bbb haus
福岡県糸島市志摩小金丸1897
読んでくださってありがとー!
桜井かおり(さくらい・かおり)
文筆家。大手損害保険会社のOLを経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が足を運び、お客様から相談やお手紙をもらうことも多かったそう。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物老朽化のため、惜しまれつつ閉店。現在は、文筆業や、買い付けなどを行う。『カフェロッタのことと、わたしのこと』『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』(ともに旭屋出版)に続く3冊目の著書『マダム・ロッタとパリ行かない?』(旭屋出版)が9月25日に発売されたばかり。
インスタグラム:@kaorilotta
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