• 料理家の荒木典子さんは、お雑煮好き。毎月「お雑煮の会」なるものを開き、地域のお雑煮を再現して試食しているそうです。香川の「あん餅雑煮」が生まれた背景とレシピについて教えていただきました。

    日本全国、その地域ならではのお雑煮がある

    お雑煮の会というものをはじめて三年目

    香川の「あん餅雑煮」なるものを食べてみたい!! と思っていたところから始まりました。

    ある年のお正月明けに、東京のアンテナショップであん餅を見つけました。仲良し二人に声をかけてあん餅雑煮を再現して一緒に食べたのが始まりです。

    その後お二人の料理のプロが加わり、あらためて五名で『お雑煮の会』が発足しました。

    そこから毎月集まってはいろいろな地域の比較的伝統的なお雑煮を資料本どおりに再現しては試食をしています。

    お雑煮にはいろいろな種類があります。

    何のだしをつかうか、具は何か、餅は丸か角か、焼くかゆでるか、具はなにか。地域によって大まかには分かれています。

    お正月だから豪華だったり、敢えて質素だったり、考え方もさまざま。

    でもどのお雑煮もとっても美味しい!! ということをまずはお伝えしたい。

    庶民が正月にお雑煮を食べるようになったのは江戸時代だと言われています。

    それから数百年、それぞれの地域で限られた材料を使って長年ブラッシュアップされてきたレシピなので、美味しいに決まっています。

    香川県のあん餅雑煮

    画像: 香川県のあん餅雑煮

    あんこが入っているお雑煮なんて!??? と驚く方も多いかもしれません。

    江戸時代、この地域は上質の砂糖の産地でした。そのころは高級品だったのですが、庶民もお正月くらいはお砂糖を! とお雑煮に砂糖を使ったのがはじまりだとか。

    あんの入った丸餅におだしはいりこだし、そして白味噌。

    白味噌は古い時代に京都から伝わっていますが、今の香川の白味噌は京都の西京味噌よりは塩分の多い白味噌です。いりこのだしにはよく合います。

    具は金時にんじん、大根、豆腐、長ねぎ、そして最後に青のりを散らします。

    あんが白味噌に溶け出ると甘じょっぱくてなんとも癖になる味です。

    *あん餅は火がとおると崩れやすいのでやさしく扱ってください。

    香川県のあん餅雑煮のつくり方

    画像: 香川県のあん餅雑煮のつくり方

    材料(2人分)

    ● あん餅2個
    ● いりこだし400mL
    ● 大根(細い部分)適量
    ● 金時にんじん(細い部分)適量
    ● 長ねぎ適量
    ● 木綿豆腐1/4丁
    ● 白味噌適量
    ● 青のり適量

    つくり方

     金時にんじん、大根は輪切りにし、長ねぎ、木綿豆腐は食べやすい大きさに切る。

     あん餅は熱湯に入れてふたをしてやわらかくなるまでおく。

     いりこだしにの金時にんじんと大根の輪切りを入れ、やわらかくなるまで煮て、長ねぎ、豆腐を入れてさらに煮る。

     に白味噌を溶き入れる。

     お椀に大根を敷いてあん餅を入れ、を注ぐ。青のりを散らす。


    荒木 典子(あらき・のりこ)

    料理家。国際中医薬膳師。青果卸を営んでいた料理上手の祖母と、母の影響で食に関心のある環境で育つ。神戸女学院大学文学部を卒業してフランスへ留学し、帰国後調理師学校にて料理の基礎を学び、調理師免許を取得。その後、上京して料理本の編集者として働いたのち、2007年に料理家として独立。

    現在は書籍やテレビの仕事を中心に、企業へのレシピ提供、料理店の監修などの仕事とともに、和食のお料理教室を主催。季節のていねいでシンプルな料理をモットーに、家庭でできる日本料理と洋食などレシピを提案する。また、おせち料理をライフワークとし、ほかにお雑煮の会を主催。著書に『いちばんくわしい 基本のおせち料理』『炊き込みごはん』(ともに成美堂出版)などがある。

    インスタグラム:@aranoric

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    『いちばんくわしい 基本のおせち料理』(荒木典子・著/成美堂出版)

    『いちばんくわしい 基本のおせち料理』(荒木典子・著/成美堂出版)

    画像: 香川の「あん餅雑煮」|荒木典子の日本のお雑煮

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