(『人生が変わる台所道具 私を助ける小さな働きもの』より)
ふたたび、夫婦ふたり暮らし。鍋もボウルも軽くなりました
ふたたび、夫婦ふたりの暮らしになって1年ほど。お子さんたちが独立し、家の中はすっかり静かになりました。
一方、台所に関しては、新顔がいくつか仲間入り。ご自身の言葉を借りれば、「文明の力を頼って」様子が変わってきているのです。
食洗機、電気圧力鍋、そして、ちょっと文明とは離れるかもしれませんが、手動のみじん切りカッター。このところ導入したものはほぼ、“手間の外注”といえるもの。
思えばターニングポイントは、体力の衰えを感じ始めた50歳を迎えた頃。
「今まで使っていたボウルや鍋が重いと感じるようになり、道具に“軽さ”を求めるようになりました。
それまでは、たくさん作りおきをして、朝はお弁当を4個つくるような生活で。子どもたちも大学を卒業したり、成人を迎えたりの時期に入っていましたし、もうむりはしない方がいいと悟りました。
そこで、これまで使っていた道具をいったん見直して、その時の家族の形に合うものを取り入れることにしたんです」
後藤さんの愛用道具
ふたり分の料理にちょうどいい「蓋付き両手鍋」
子どもたちが独立したばかりの頃は、つい長年の習慣で、料理をつくりすぎてしまっていたという後藤さん。
同じものを3日も続けて食べながら、その理由を考えてみました。はたと思い当たった結論は、「鍋が、大きすぎる!」
今までと同じサイズを使っていると、気をつけているつもりでも、つい手が勝手に、“いつもの分量”で料理してしまうのです。
そこで手に入れたのが、小ぶりな両手鍋。これが、ふたり分の料理にちょうどよく、かぼちゃ1/4個を煮るなど、野菜を少量だけ食べたいときにも活躍。鍋のサイズが小さければ、材料を入れすぎることもありません。
「つくりながら、『少ないなあ』と思うんですが、これが、今の私たちの適量なんですね」
後藤さんの使い方
みそ汁ふたり分
毎日のごはんに欠かせないみそ汁も、最近はこのお鍋で。小さいながら絶妙な深さで、みそ漉しもむりなく入り、作業しやすい。
ゆで卵4個分
卵4個がこの鍋の適量。ちょうどふたり分のつくりおきにいい分量。
「熱伝導率が高く、お湯が早く沸くのも、ストレスがありません」
厚揚げ1枚分
副菜用の厚揚げは、食べきれる1枚が入るサイズ。小さいと煮汁にもむだがないのがうれしい。最後にコチュジャンを加えて甘辛味に。
お鍋について
商品名:アルマイト両手鍋
販売元:松野屋
サイズ:直径14(持ち手含まず)×高さ8cm(容量1L)
素材:アルマイト
使用年数:約1年
軽くて丈夫なアルマイト。懐かしさを感じさせるデザインも◎。韓国製。「hal」で取り扱いあり。
本記事は『人生が変わる台所道具 私を助ける小さな働きもの』(家の光協会)からの抜粋です
〈撮影/馬場わかな 取材・文/福山雅美〉
後藤由紀子(ごとう・ゆきこ)
高校卒業後、上京。働きながらファッションとスタイリングを専門学校で学んだのち、人気雑貨店に勤務。20代半ばで地元の静岡に戻り、2003年、子育てをしながら器や生活道具の店「hal」をオープン。2007年、ファッション誌の表紙を飾り、その着こなしと背伸びをしない発言や人柄が一躍人気に。暮らしに関する著書多数。日々の暮らしを発信するインスタグラムも好評。
後藤由紀子インスタグラム:@gotoyukikodesu
hal インスタグラム:@halnumazu
◇ ◇ ◇
「あなたの人生を変えた台所道具を教えてください」というテーマから、暮らし関係の仕事に携わる6人が厳選した愛用の台所道具を紹介。道具のお話を聞くうちに、道具の背景にある、料理や暮らしのことが見えてきました。「料理をもっと楽しむ」ために、6人6様のストーリーを読みながら、自分のライフスタイルに合うものを探してみてください。