(『天然生活』2022年9月号掲載)
いま、必要なもので満たしてから処分する
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
永井さんの名言
「片づけ」=「捨てる」ではない
私たちは、片づけというと反射的に、ものを減らさなければと考えます。
ところが実際に夫の実家を片づけた経験をもつ永井さんは、「たとえ子ども主導でものを減らしても、そこが本人の感覚で暮らしづらい状態であれば、また散らかることになる」とバッサリ。
「私がまずしたのは、困りごとを徹底的に聞くこと。すると、『タンスが古びて引き出しが開けづらいから、服の出し入れが面倒で出しっぱなしになっていた』など、散らかっていた本当の理由が見えてくるわけです。それをひとつずつ解決していけば、本人にとって暮らしやすく、散らかりづらい空間に整えることができます」
ちなみに、“もったいない世代”の親たちは、なかなか自分からものを手放すことができません。
「体形に合わなくなった服なども、『破れていないから』などといってとっておこうとします。そこで、こちらが好みをあれこれ聞いて、先に新しい服を用意するんです。すると、『そういえば、これは着られないわよね』と自分から手放すことを考える。歳を重ねると、友人が亡くなっているケースも多く、そもそも喪失感を抱えています。そのうえ、慣れ親しんだものを無理に処分するのはつらいはず。前向きな気持ちで、納得して手放してもらうことが大切です」
<取材・文/福山雅美>
永井美穂(ながい・みほ)
介護福祉士として高齢者の在宅介護に従事後、整理収納アドバイザーなどの資格を取得。美観優先の片づけとは異なる、住む人の思いが主役の身近な整理収納術が好評。著書に『親の健康を守る実家の片づけ方』(大和書房)。https://www.mie-style.com/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです