(『天然生活』2022年3月号)
“面倒にならない”シンプルな掃除の仕組み
使いやすくてシンプルな収納術が人気の本多さおりさん。フルリノベーションして家族4人で移り住んだ中古マンションは、引き戸を開けるとぐるっとすべての部屋が一周できる1LDK仕様です。
そんな本多さんが日々、掃除のしやすさで大切にしているのは、「面倒にならない」こと。
「掃除がしやすいということは、部屋が片づいているということ。ものが出しやすくてしまいやすく収納されていれば、面倒がなくなり、掃除もしやすくなるものです。そのためには、ものを整理する→使いやすく収納する→掃除がしやすくなる、という3つのステップで見てください」と本多さん。
掃除を楽にするには、まずはものを整理するところから始めるのが近道となりそうです。
整理をするには、ものの量を把握して、数を絞ることが重要です。よく使うものはオープン収納や出しっぱなしでもいいのですが、使う頻度が少ないものは別の場所にまとめるか、いらないものは処分を。
とくに部屋の中で出しっぱなしにするもの、見せて収納するものは、量を厳選します。
「たとえば吊るす収納が便利だからと、なんでもかんでも調理道具を吊るすのでは、場所をとって使いにくくなるし、ほこりを呼ぶだけ。あまり使わない泡立て器を吊るして、ほこりだらけにしている、というケースもありました」
子どものおもちゃ、本やCDなどのコレクションも定期的に見直しを。出しておくもの、しまっておくもの、処分するものを分類することが、掃除しやすい環境づくりへの一歩となります。
日常のついでの流れで、シンプルに掃除できる仕組みを
ほこりがたまりにくくするには、床にものを直置きしない、家具や小物入れはキャスター付きにして動かせるようにするなどの工夫も大切です。
「毎日、窓を開けて家じゅうに風を通すのもおすすめです。風が通るおかげで、ほこりが1カ所にたまりにくくなります。床に落ちたほこりはルンバなどの掃除機で吸い取ればOKです」
環境づくりが整ったら、あとは「ついで」に掃除する仕組みをつくるだけ。
家事の途中や生活のシーンのなかで汚れが目についたら、さっと掃除道具を手にして汚れを落とす。使う道具や洗剤もシンプルにして、手に取りやすい場所に分散させることで、この小さな繰り返しが続けやすくなります。
「道具は暮らしになじむデザインのものを選べば、出しておいても違和感がありません。わざわざ取りにいかなくてもすむように、すぐ使えるところに置いておきましょう」
<撮影/砂原 文 取材・文/工藤千秋>
本多さおり(ほんだ・さおり)
生活重視・ラク優先の整理収納コンサルタント。暮らしをラクにまわす仕組みづくりを提案。著書は『私をあたらしくする51のこと』(大和書房)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです