• がんばりすぎて結局は続けられないこと。自分の暮らしや性格には合わないこと。そんな習慣を潔くそぎ落としていったら、家の中がさらにすっきりするかもしれません。試行錯誤を重ねた末に心地よい方法にたどり着いたという、ライター・一田憲子さんの片づけ法を聞きました。
    (『天然生活』2022年3月号掲載)

    無理のない、自分らしい片づけ法

    「若いころは、雑誌などで紹介されているのが“正しい”片づけ法で、そうしなければいけないと思っていました。自分のやり方でいいんだと思えるようになるまで、ずいぶん時間がかかりましたね」

    きれいに片づいた気持ちのよい自宅で、一田憲子さんはそう話します。

    元来、こまごまと分類したりしまったりするのが苦手。雑誌などで美しく整った収納法を見るたび、「自分はなんて大雑把なんだろう」「もっとちゃんとしなくては」と落ち込むこともありました。でも年を重ねるにつれ、結局は自分が続けられる方法が一番いいのだとわかってきたといいます。

    「合わない片づけ法を取り入れても、長くは続かないんですよね。そのうちものがどんどん出しっぱなしになって、結局部屋が乱れてしまう。それよりは、とにかく自分が片づけやすい仕組みをつくったほうがいい。箱の中がごちゃごちゃしていても、部屋がきれいに見えればそれでいい。そう思うようになったんです」

    部屋が最低限すっきりしていて、毎日気持ちよくごはんが食べられたら十分。数々の試行錯誤を経てたどり着いたのは、そんなシンプルな考え方でした。

    「そもそもなんのために片づけるのかと考えてみると、自分が気持ちよく暮らすためなんですよね。合わないことをがんばりすぎて疲れてしまったら本末転倒。いろいろな失敗をして、やっとそのことに気づいたんだと思います」

    大事なのは手段ではなく目的。だからこそ一田さんがたどり着いたように、ひとりひとりの心地よさに合った方法が、きっとそれぞれの“正しい”片づけ法なのです。

    やめたこと1
    洗った食器をすぐにしまうこと

    ⇒夕食後の時間をゆったり過ごせるように

    画像: やめたこと1 洗った食器をすぐにしまうこと

    朝から忙しく過ごしている一田さん。夕食後はたいていエネルギーを使い果たしていて、いわば電池切れの状態になっています。

    「体が疲れているのに、無理して片づけるのは辛いだけ。食後はなるべく家事をせず、のんびり休もうと思い、すぐに食器を片づけることはやめました」

    使った食器は、洗って拭いてから食卓の上に並べておくだけにして、翌朝食器棚にしまうのが習慣。

    「わが家は土ものの器を使うことが多いので、ひと晩出しておくことで、よく乾いてカビやシミを防げるというメリットもあるんです」

    やめたこと2
    靴下をきれいに並べて収納すること

    ⇒かごに投げ込むだけで、楽に見た目が整う

    画像: やめたこと2 靴下をきれいに並べて収納すること

    引き出しに仕切りケースを入れ、靴下を丸めてひとつのスペースに一足ずつ入れていたのが「だんだん上に積み重ねるようになったので、かごに入れるだけにしました」

    靴下の数もかごに収まるだけに減らし、朝の入浴後にすぐはけるよう洗面所に置くように。

    やめたこと3
    洋服をたたむこと

    ⇒大がかりな衣替えが不要に

    画像: やめたこと3 洋服をたたむこと

    以前は押し入れの中に棚や引き出しケースを置き、服をたたんで収納していましたが、次第にどんどん放り込むようになり、散らかった状態に。

    「たたんで収納するのは自分には無理とわかり、セーターも含めてすべて吊るすことに。いまは押し入れにポールを2列設置して手前にいま着る服、奥にオフシーズンの服を吊るしています。ひと目で服が見渡せるし、衣替えも前後を入れ替えるだけなので楽になりました。たとえば春の初めにブラウスを数枚前に出しておくなど、季節の変わり目に微調整もできるので便利です」

    やめたこと4
    細かく分類して収納すること

    ⇒「どこにしまったらいい?」がなくなった

    画像: やめたこと4 細かく分類して収納すること

    「取材先で見かけた細かく分類する収納法を試してみたものの、これはどこにしまうんだっけ? と考えてしまい戻すのが大変。面倒なのであとで片づけようと思うと、結局外に出しっぱなしに。細かい分類は自分の性に合わないのだと気づきました」

    そこで文房具、裁縫道具、薬類など大まかなジャンルごとに無印良品のファイルボックスを用意。あとはそこに放り込むだけで中は乱れていてもOK。

    「小さくて出し入れしにくいものはファスナー付きビニール袋に入れてから、ボックスの中にしまっています」

    やめたこと5
    家具の下にものを置くこと

    ⇒部屋がすっきり見えて、掃除もしやすく

    画像: やめたこと5 家具の下にものを置くこと

    ソファや棚の下のすき間にかごを置いてバッグや雑誌をしまっていたことも。

    「掃除のプロに取材した際、手早く掃除をすますには床にものを置かないことが大事と教わって。しかも置いていたものはほとんど使わないもの。やめてもまったく困りませんでした」

    やめたこと6
    トイレブラシを置くこと

    ⇒トイレ用掃除シートに替え、空間も心もすっきり

    「トイレブラシを置いておくと場所はとるし、使ったあとに洗って元に戻すのも意外と面倒。さらに置いておくとほこりがたまってしまうなど、清潔さの面でも気になって。思いきってトイレ用掃除シートに替えました。空間もすっきりして気持ちがいいです」

    掃除シートで床などをふいたあと、最後に便器をふくことにしたので掃除の手順もとても楽に。毎朝自分がトイレを使ったあとに掃除もさっとすませてしまうのをルーティンにしました。

    「トイレ掃除をおっくうに感じなくなったのもうれしい副産物でした」

    やめたこと7
    書類をきれいにファイリングすること

    ⇒クリアファイルにすぐ挟み、書類の放置を防止

    画像: やめたこと7 書類をきれいにファイリングすること

    さまざまな仕事を抱えている一田さん。資料などをバインダーやリングファイルに綴じていましたが、たくさんある書類をその都度ファイリングするのは手間がかかるため、つい「あとで」と出しっ放しにしてしまうことも。

    「複雑なファイリングはやめて、A4サイズのクリアファイルに入れるだけにしました。こうすればすぐに片づけられるし、必要なものもさっと取り出せます」

    ファイルは大まかなテーマごとに分けてラベルを貼り、ファイルボックスに収納。書類は仕事が終わって一定期間がたったら処分します。

    やめたこと8
    ファンデーションを使うこと

    ⇒化粧品の数が厳選され、棚も肌もすっきり

    画像: やめたこと8 ファンデーションを使うこと

    「年を重ねるにつれ、メイクやスキンケアはシンプルにしようと思うように。いまは日焼け止めにアイブロウとリップだけ。基礎化粧品もクレンジングとローションだけに。物が減って管理も楽になったうえ、肌がきれいになったといわれることも増えました」

    やめて失敗したこと
    手帳でスケジュール管理をすること

    手帳に書く代わりにウェブ上のカレンダーアプリで仕事のスケジュール管理をしてみたことも。

    「でもデータが消えてしまうなど、ヒヤッとすることが起きて。さらに手帳に書くという行為を通じて予定や思考の整理ができていたことに気づき、元に戻しました」

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    <写真/山川修一 イラスト/須山奈津希 取材・文/嶌 陽子>

    一田憲子(いちだ・のりこ)
    人気シリーズ『暮らしのおへそ』をはじめ、雑誌や書籍などの企画、編集、執筆を手がける。近著に『大人の片づけ』(マガジンハウス)。https://ichidanoriko.com/
     
    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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