(『別冊天然生活 德田民子さんのおしゃれと暮らし』掲載)
暮らしも健康も「ゆるやかなルール」で
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
「『いつも変わらず元気』だなんて、とんでもない。60代、70代と年を重ねるごとに、しっかり不調も増えてきました」
そういって笑う德田民子さんは現在78歳。大病こそしていないものの、緑内障や膝の痛みなど、健康の不安は「考えればきりがないので、あえて深く向き合いすぎないようにしています」
一方、「不調があればこそ、健康を維持しようと日々できることに気を配れるのかもしれません」とも。
「『きっちり決める』のが好きではないのは、部屋のスタイリングや洋服のコーディネートと同じ。でも、なんとなく健康によさそう、と始めたことのいくつかが、いつしか私のゆるやかな健康ルールになっています」
たとえば、一度の食事のなかでできるだけ多品目をバランスよくいただくのは、雑誌編集に携わっていたころから。
「よく覚えているのは、若いころ六本木でランチをした際、ふわっとかつお節がのったサラダが出てきたこと。それが当時の私には、とても画期的で。以来私もごまをかけてみたり、アマニ油を取り入れてみたりと、ひとつの小鉢でいろいろな栄養が摂れる工夫をするようになりました」
コロナ以降に習慣となった、1週間に一度の食材の買い出しでも「『なんの料理をするか』というより、『どんな食材を取り入れようか』と考えて選ぶことが増えた」のだとか。
「スーパーに着いたら、夫と二手に分かれてそれぞれの担当をかごに入れ、どちらが早くレジに着けるか競争するんです。がんばってみるんだけど、私がいつも負けちゃうの。これ、脳のトレーニングにもなりそうでしょう? 」
以前楽しんでいたことを再開
近頃は、ゴルフを再開したり、ダンス音楽を楽しんだりと、以前楽しんでいたことをもう一度掘り起こしてみるのが、小さな刺激に。
「とくに音楽は、気持ちが一瞬で昔にタイムスリップできるみたい。最近のお気に入りは、テンプテーションズ。ちょっと踊りながら料理をしたり家事をしていると、いい運動になるし、気分がいいんです」
そしてもちろん、日々新たな洋服のコーディネートを発見して楽しむのは、何よりの健康の秘訣。
「仕事柄、以前は奇抜なハイファッションを身にまとっていたこともありました。けれどいまは、安曇野の自然に似合うベーシックな服を着たい。そのなかでも少しずつ、そのときの気分を反映した変化を加えられると、新鮮な風が入るような喜びがあります」
無理なく日常を重ね、ときに変化を楽しんで。どれかひとつではなく、そんな日々のすべてが、德田さんの健やかな「いま」につながっているようです。
めぐりをよくする健康習慣
空と緑を眺めて歩く
東京とは違い車社会の安曇野暮らしでは、意識的に歩く時間を設けて健康維持とともにリフレッシュタイムに。
とはいえ、膝に負担をかけないよう、なるべく平坦な道を片道20分程度にとどめています。
「ただ歩くのではつまらないから、パンを買ったりお茶をしたりと、目標を決めて。少しずつお気に入りの場所が増えました」
めぐりをよくする健康習慣
食事はバランスよく、多品目を少量で
「食が細くなったからこそ、たくさんの栄養を摂れる食事を」と、少しずつでも多様な食材を使うことを意識。そんな德田家の食卓で活躍しているのが粉末状の食材です。
「今日はサラダに煮干しとかつお節の粉、ヨーグルトに黒ごま、アーモンド、きなこのミックスパウダーを。パッとかけるだけでおいしさも栄養もアップします」
めぐりをよくする健康習慣
ゴルフの練習を再開
今年、長く中断していたゴルフを久しぶりに再開。コースに出ることを目標にプロにも指導を受け、家ではスイングをおさらい中です。
「練習前のストレッチも含めていい運動になります。最近はおしゃれなゴルフグッズも増えたので、少しずつそろえるのも楽しみなんです」
練習はもちろん、裕二さんが丹精する美しい芝生の庭で。
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<撮影/山川修一 取材・文/玉木美企子>
德田民子(とくだ・たみこ)
元『装苑』編集長、2009年より長野県安曇野市在住。ベーシックなアイテムを生かしたスタイリッシュなファッションと、シンプルでセンスが光る暮らしの提案が人気。四季の着こなしとライフスタイルをたっぷり紹介した『德田民子さんの工夫のある家仕事』(扶桑社)や、78歳になった德田さんの小さな暮らしが詰まった『德田民子さんのおしゃれと暮らし』(扶桑社)も好評発売中。
※記事中の情報は『德田民子さんのおしゃれと暮らし』掲載時のものです