(『天然生活』2022年6月号掲載)
白髪と上手につきあうために
私たちの髪が黒いのはメラニン色素によるもの。遺伝や加齢などの影響で、メラニン色素をつくる毛髪内の「色素幹細胞」がうまく働かなくなることで白髪が生まれます。
毛髪診断士の資格をもつ美容エディターの伊熊奈美さんによると、35歳くらいから白髪が出始める人が多いといいます。
「30代後半は女性ホルモンの分泌量が下降し始めるタイミング。さらに子育てや、家庭と仕事の両立で忙殺される人が多く、ストレスや自律神経のゆらぎなども白髪の増加につながると考えられます」
白髪の原因
髪を黒くする色素幹細胞の衰えから白髪が生えます。その衰えを引き起こすのが、下記の7大要因。美髪には体と頭皮、どちらも健康であることが不可欠です。
最も一般的なケアは白髪染めですが、白髪が増えるにつれて染める頻度も増えるため、「面倒」「きりがない」といったモヤモヤを抱える人、染める薬剤で湿疹が出るなどのトラブルに悩まされる人も。
こうした悩みのほとんどは、使う染毛剤やケアを見直すことで解消できると、伊熊さん。
白髪染めの種類
しっかり染まる「医薬部外品」と作用が穏やかな「化粧品」に分かれます。
「ヘアカラー製品は性質や効果によって大きく4種類に分けられ、それぞれにメリット、デメリットがあります。現在の主流はアルカリカラーと呼ばれる酸化染毛剤。短時間で思い通りの色に染められて色持ちがいい半面、髪が傷みやすく、頭皮かぶれを起こしやすい成分が含まれているのが難点です」
頭皮に少しでもかゆみやひりつきを感じたら、なんらかの対策が必要です。
白髪染めの悩み
肌トラブルから経済的なことまで白髪染めには悩みが尽きません。
● かぶれ、かゆみ
● 面倒
● お金がかかる
● 髪へのダメージ
● 自分でうまくできない など
「すぐできることは、美容師さんに『肌が弱い』と伝えること。アルカリ濃度の低い薬剤にしてくれたり、保護剤を厚く塗ってくれたり、対応が変わると思います。あるいは根元のリタッチは低刺激のヘアカラートリートメントを使ってカバーし、アルカリカラーの頻度を下げる方法もおすすめです」
<監修/伊熊奈美 取材・文/熊坂麻美 イラスト/ヤマグチカヨ>
伊熊奈美(いくま・なみ)
美容エディター、毛髪診断士 認定指導講師、毛髪技能士。美容全般のなかでも毛髪科学分野とヘアケアに精通。30代前半から白髪に悩み、ホームケアからサロンケアまであらゆる方法にトライしてきた。つややかな髪はケアの賜物。著書に『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)。インスタグラム@namiikuma_hairista
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです