(『天然生活』2022年12月号掲載)
より疲れを和らげる温冷交代浴
温かいお湯と冷たい水に交互に入る「温冷交代浴」。血管を収縮させることで血流がアップし、疲れた体を回復させる効果があります。
やり方の基本は「温かい湯に3分間→冷たい水に1分間入る」を3回繰り返すだけ。温度差がポイントなので、温かいお湯は40℃、冷たい水は30℃のシャワーで。

40℃(熱くても41℃)のお湯に3分間つかり、全身を温める。次に冷たいシャワーを浴び、再びお湯につかるのを3回繰り返し、最後は必ず温かいお湯で終えるようにする。

全身が温まったら30℃(最低20℃)のシャワーを1分間、手足の末端から始めて、徐々に体の中心にあてる。温度が冷たすぎると心臓の負担になるので注意を。
朝が苦手な人は朝風呂もおすすめ
朝、起きられない人におすすめしたいのが朝風呂です。熱めのお湯にさっと入ることで、交感神経を刺激。低血圧で活動モードへの切り替えがうまくできない体に、スイッチを入れてくれます。
朝の1分シャワーは、加齢臭などのにおい対策にも有効。寝ている間に分泌した皮脂を洗い流してくれます。
42℃のお湯で目がシャキッと覚める

低血圧で朝が苦手な人は、短時間の朝風呂で血流を刺激して、体を活動モードに切り替えて。やや熱めの42℃のお湯に5分間、さっとつかるのがポイント。
朝の1分の入浴で夕方までにおいを抑えられる

加齢臭などのにおいのもととなるのが皮脂。朝、湯船につかるか、41℃のシャワーを1分間浴びると、就寝中に分泌した皮脂をリセット。夕方4時ごろまでにおいを抑える。(※2)
※2 出典:東京ガス・都市生活研究所ホームページ
入浴剤で、より入浴効果を高める
入浴剤は入浴効果を高めるので、好みに合わせてぜひ活用しましょう。入浴剤には無機塩類系・炭酸ガス系・生薬系・酵素系・清涼系・スキンケア系・湯の花などがあり、それぞれ特徴が違います。
いろいろな種類をそろえて、その日の体調や気分で選ぶのもいいですね。重曹やクエン酸で手づくり入浴剤を楽しむのもありです。
とくに一番風呂は、入浴剤を使ったほうがいいでしょう。浴室が暖まっていない一番風呂はヒートショックのリスクが高く、水道水の塩素、体の浸透圧と違う水の濃度などで肌への刺激が強くなります。
入浴剤でそれらの刺激をマイルドにできます。
おすすめの入浴剤
無機塩類系
主な製品「日本の名湯」「バスクリン」など
粉末・顆粒状のベーシックな入浴剤。手頃な価格で手に入るのも魅力。保温効果、血流アップに加え、香りによるリラックス効果も期待できる。
人工的につくられた「温泉の素」なども、このタイプに含まれる。
炭酸ガス系
主な製品「バブ」「きき湯」など
炭酸ガスによる細かい泡がブクブク出るタイプで、いま、一番人気が高い入浴剤。
泡の炭酸ガスが皮膚から吸収され血管を拡張、血流をよくする効果が期待できる。疲れを解消し、肩こりや腰痛の改善にもおすすめ。
生薬系
主な製品「柚子」「ヨモギ」など
ゆず湯、よもぎ湯など、自然の植物をそのまま刻んだり、エキスを抽出した生薬成分由来の入浴剤。独特の香りも楽しめます。
粉末、液体のほか、ティーバッグ状になっているものもあり、使い勝手に合わせて選べる。
手づくり入浴剤もおすすめ
みかんの皮の入浴剤

食べたあとのみかんの皮をきれいに洗い、そのまま、もしくは日陰干ししてからネットに入れて湯船に。
みかんの皮には、リラックス効果や血流をよくする成分が。また、みかんのビタミンCは水道水の塩素を中和する効果も。
重曹の入浴剤

重曹30g クエン酸15g
肌をつるつるにする重曹風呂は、重曹30〜45gを入れて。また、重曹30gとクエン酸15gを混ぜて入れると炭酸風呂になる。
そのままでもOKだが、目の細かいネットに入れて湯船に沈めると、泡がお湯全体に広がる.
<監修/早坂信哉 イラスト/植松しんこ 取材・文/工藤千秋>
早坂信哉(はやさか・しんや)
温泉療法専門医。東京都市大学人間科学部学部長・教授。お風呂や温泉に関する医学的研究の第一人者。著書に『入浴は究極の疲労回復術』(山と渓谷社)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです