(『天然生活』2022年12月号掲載)
安全に入浴するために知っておきたい6つのこと
入浴は手軽で優れた健康法ですが、年齢が高くなるほど気をつけなくてはいけない点も。熱中症、心筋梗塞、脳卒中、さらに意識を失って溺れるなどで、入浴中に亡くなる方は年間2万人。その9割が65歳以上です。
事故を防ぎ、安全にお風呂を楽しむには、急激な温度差や長湯をしないことが重要です。温度差が大きいほど、血圧の急上昇によるヒートショックのリスクがアップ。
服を脱ぐ前から脱衣室、浴室の温度差は5℃以内になるよう調整します。また、熱中症予防のため水分補給してから入浴を。お湯につかるのはトータルで10〜15分にして、熱中症を防ぎます。
1 脱衣室を暖めておく
リビングと脱衣室・浴室との温度差の目安は5℃以内に抑え、血圧が急上昇しない工夫を。とくに寒い冬は、入浴前に脱衣室を十分暖めて20℃くらいにしておくこと。
2 入浴前に水分を摂る
入浴中は、汗で体の水分が失われます。脱水症状を防ぐため、コップ1〜2杯(200〜300mL)の水分を入浴前に補給。ミネラル入り麦茶、スポーツ飲料、牛乳がおすすめ。
3 服を脱ぐ前にお湯を流して浴室を暖める
湯船の湯は温かくても、浴室は冷んやりしている場合も少なくない。服を脱ぐ前に、温かいシャワーを流し、湯気を充満させるなどして、浴室内もしっかり暖めておくとよい。
4 しっかりかけ湯をする
かけ湯は体をきれいにするほかに、お湯の温度に体を慣らす役割も。いきなり湯につかると温度差で血圧が上がることもあるので、1〜2分のかけ湯を忘れずに。
5 額に汗を感じたら湯船から出る
入浴時間はトータルで10分、長くても15分で。それ以上になると熱中症のリスクが上がってしまう。額や顔に汗をかき始めたタイミングを目安に湯から上がる。
6 冷たいものに少し触れてから湯船から出る
湯船から出るときは、立ちくらみをしないようにゆっくりと立ち上がる。シャワーで冷たい水を手にかける、手すりやカランなど冷たいものに触れるなども、立ちくらみ防止に。
入浴中に不調になった家族を見つけたらやるべきこと
● 湯船の栓をぬく(溺死防止)
● 窓やドアを開けて涼しく
● 湯船の外で横向きに休ませる
<監修/早坂信哉 イラスト/植松しんこ 取材・文/工藤千秋>
早坂信哉(はやさか・しんや)
温泉療法専門医。東京都市大学人間科学部学部長・教授。お風呂や温泉に関する医学的研究の第一人者。著書に『入浴は究極の疲労回復術』(山と渓谷社)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです