(『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』より)
安くておしゃれな「チープシック」って?
おしゃれは、お金をかけなければできないものではありません。値札をつけて出歩くわけではないので、一つ見た目の演出を試みてみてはいかがでしょう。
私は20歳の頃、「チープシック」という言葉を知りました。
わかりやすく言うならば、「品のよい安物」。お金をかけずにおしゃれを楽しむとして、1970年頃に提言されました。それ以来、これが私の服装のテーマです。
普段着をパターン化。少ない服で着回し上手に
おしゃれは、多くの服を持っていればできるわけでもありません。
最小限の服でやりくりするには、今持っている服をしっかり管理することです。
私はワードローブを、ジャケット、スカートやブラウスなどジャンル別にカードに書き出して管理しています。
おかげで一目瞭然、パッと着回しが思い浮かぶようになっているので、外出時も慌てません。
ところで、カーディガン一枚でも、中に着るのがセーターとシャツとでは、まったく印象が違いますよね。
あるいは赤いカーディガンに白いセーターを合わせた場合と、青いシャツの場合は、完全に別の装いです。
私は同系色を組み合わせることが多いのですが、あるときピンクのセーターに水色のカーディガンを、じつに上手に合わせていた人を見て驚きました。
つまり服装は全体とのバランスが重要で、そのバランスの内訳には、着る人の髪型やアクセサリー、そしてなによりその人本体から醸し出されるものが含まれているのです。
また、ワンピース一着でもいろんな着回しができます。地味な色の無地なら、ちょっと派手めのベストも合いますし、デザイン力のあるアクセサリーにも挑戦できます。
若かりし頃の私は、とにかくオリジナル性のある衣類に惹かれていたものです。当時の服もリメイクすれば、70歳を過ぎた今でも着られているわけです。老いてもまだわくわくしながら着てみるのは精神的な幼さでしょうか。
幼稚さのおかげで、服を新調しなくとも、無限のコーデが思い浮かぶようです。まさに「チープシック」のなせる業です。
本記事は『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社)からの抜粋です
小笠原洋子 (おがさわら・ようこ)
画廊と美術館で学芸員の仕事をしたあと、美術エッセイストとして活躍。東京郊外の高齢者向け団地にひとり暮らし。若い頃からゲーム感覚で節約を楽しみ、持たない暮らしを心がける。近著に『ケチじょうずは捨てじょうず』(ビジネス社)がある。2024年2月、『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社)を発売。
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「ケチカロジー」の生みの親、美術エッセイスト小笠原洋子さんの暮らしのエッセイ。「ものは上手に手放し、すっきり」「服を買わずにおしゃれを楽しむ」など、「お金は困らないくらいあれば十分」と語る小笠原さんのエレガンスで豊かな暮らしのアイデアが満載です。