(『暮らしのまんなか』vol.37より)
私流、台所のルール
都内に小さな土地を見つけ、76平米の家を建てた徳さん。夫婦それぞれの実家の居心地よさをお手本にしながら、人が集まり、食卓を囲む時間を大切に暮らしています。
「わが家は夫の実家の愛媛から、2週間に1度ぐらいたくさんの野菜が届きます。それをいかにおいしく食べきるかが、日々の献立のテーマなんです。
娘の保育園のママ友達を『野菜が届いたから食べに来て』と誘ったりしています。新鮮な野菜は子どもたちもよく食べるし、『この家に来ると野菜不足が補えて健康になる』といってもらえたことも。人が来ても、つくる料理はふだんと一緒です。凝ったことはしなくて、蒸したり、グラタンにしたり、夏は揚げびたしもよくつくります」
ルール① 毎食後にリセット片づけ
オープンなアイランドキッチンはものが出しっぱなしだと目立つため、毎食後にリセット。「 キッチンを自分の好きな風景にしておくこと」が、料理のモチベーションにつながる
ルール② 好きな道具でときめく
自然素材や手仕事の道具など、使い込むごとに味わいが増していくものを選んでいる。「自分が料理をするほどに道具が育っていく気がして、使うのがうれしくなります」
ルール③ 調理パターンを繰り返す
つくりおきが苦手で、その日の気分で料理をしたい徳さん。グラタンやマリネなど、どんな素材でもおいしくまとまる調理のパターンにたどり着き、献立にあまり悩まなくなった
台所のリセット術
台の上には何もない状態に
「ダイニングテーブルの方を向いて料理や食器洗いをするのが理想でした」とアイランドキッチンを採用。「料理はできたてを食べたい」ので、食事中にものが出ていてもあまり気にせず、食後にリセット
カウンターの内側でさっとしまえる収納に
アイランド型にしたことで、カウンターの下にも収納スペースを確保できた。キッチンで使うものはカウンターの内側にすべてしまえるから、「片づけがしやすい」と徳さん。カトラリーや食器類を引き出しに収納するのは、実家のキッチンを参考にした
実家から届いた野菜や果物は、通気性のよいワゴンの下段に収納。上段は、おやつや茶葉などの定位置
1階でごみ箱を置いているのは、シンク下のみ。洗剤類のストックを、この左側に置いている。
<撮影/林 紘輝 取材・文/石川理恵(summary/一田憲子)>
徳 瑠里香(とく・るりか)
編集者、ライター。出版社で書籍編集を手がけたのち、フリーランスに。著書に『それでも、母になる: 生理のない私に子どもができて考えた家族のこと』(ポプラ社)があるほか、書籍、Webメディア、ブランドコンテンツを企画、編集、執筆。夫、6歳の娘と3人暮らし。
インスタグラム@rurikatoku
<訪ねた人>
石川理恵(いしかわ・りえ)
フリーライター・編集者/雑誌や書籍でインタビューを手がける。著書に『時代の変わり目をやわらかく生きる』(技術評論社)、『自分に還る 50 代の暮らしと仕事』(PHP 研究所)他。東京・豊島区のアパートの一室に「こころの本屋」を週末オープン。
インスタグラム@rie_hiyocomame
※記事中の情報は『暮らしのまんなかvol.37』本誌掲載時のものです
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一田憲子さんが編集を手がける『暮らしのまんなか』vol.38。暮らしの実例12軒でお見せします。
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3章は「サステナブル=持続可能な収納」。あれこれ収納グッズをそろえて、部屋を片づけても、1週間もしたら、またごちゃついて……。収納で一番大事なことは、サステナブル=持続可能であるということ。「私でもできること」を見つけ、長持ちする収納システムをつくってきた、5人を取材しました。