桜井かおりの「山の上ホテル」回想録
外観のこと
てっぺんのジグザクが印象的。チェックインのとき、ホテルをあとにするとき、「かっこいいなぁ」といつも見上げました。
部屋のこと
客室数わずか35。
どれひとつとして同じレイアウトのお部屋はなかったとか。
わたしはいつもおひとり様だったからデラックスダブル(ツイン)に宿泊。庭付きのお部屋に一度泊まってみたかったな。
書物机のこと
初めて山の上ホテルに宿泊した時に感動したもののひとつがこの書物机の置かれている位置と足置きの絶妙な傾き。
名だたる多くの文豪に定宿として愛されたことで知られています。
アメニティのこと
「お休みなさいませ」「いゝ空気で生き返り あなたは明日輝きます」のメッセージが添えられたアメニティはPANPURI(パンピューリ)のTHAI JASMINE&MINT。
最後の宿泊の日はもったいなくて使えなかった。
赤い薔薇のこと
客室、そして館内のところどころにさりげなく赤い薔薇が一輪。
螺旋階段のこと
山の上ホテルの好きなところのひとつが赤いジュータンの螺旋階段。
部屋が5階でもエレベーターは使わずあえて螺旋階段で上り下りしました。
最初「あれ?」と感じた蹴上(一段の高さ)、低い理由を尋ねると着物やドレスでも上り下りがしやすいようにとのこと。粋!
朝食のこと
ルームサービスでいただいた朝食が本当にすばらしかった。
部屋の小さなテーブルを手際よく広げ、真っ白のテーブルクロスがかけられ、冷たいものは冷たくそして温かいものは温かく、レストランと同じレベルで提供されました。
クロワッサンは白いクロスにそっと包まれて……。
パフェのこと
もっとパフェを食べとけばよかったなと後悔していたけど、あれ? 意外と食べていたわ。
「コーヒーパーラーヒルトップ」のこと
宿泊した日の夜ご飯は海老のロングマカロニのグラタンとビールが私のおきまりでした。
食後、部屋に戻る前に「Bar Non Non」で1杯いや2杯いただくのもね。
パティスリーのこと
どのケーキもおいしかったけど最後に宿泊した時に部屋でいただいたマンゴーのプリンが飛び上がるほどおいしくて今まで選ばなかったことを大後悔。
「フレンチレストラン ラヴィ」のこと
宿泊の曜日によってこちらで朝食がいただけました。
ジュータンのさりげない薄ピンクの薔薇柄が好きでした。
「Bar Non Non」のこと
カウンター9席の小さな英国式のバー。
最初の一杯は、オレンジの皮でまるで魔法をかけるようにサーっと香りづけするドライマティーニを。
1日の終わりに物静かなバーテンさんとの会話が心地よく沁み入りました。
クロスのこと
近沢レースのクロス。
レースをよく見るとHILLTOPHOTEL,HILLTOPHOTEL……って。
最後に
最後に。
小さなホテルゆえの、あたたかく行き届いたサービスに何度心から感動したことでしょう。
凛とした品格があり、働いている方々の山の上ホテルを愛する気持ちが伝わるホテルでした。
ここで執筆、そして講演会ができたことをしあわせに思います。
ありがとう山の上ホテル。
お疲れ様でした。
またいつか会えますように。。。
桜井かおり(さくらい・かおり)
文筆家。大手損害保険会社のOLを経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が足を運び、お客様から相談やお手紙をもらうことも多かったそう。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物老朽化のため、惜しまれつつ閉店。現在は、文筆業や、買い付けなどを行う。『カフェロッタのことと、わたしのこと』『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』(ともに旭屋出版)に続く3冊目の著書『マダム・ロッタとパリ行かない?』(旭屋出版)が好評発売中。
インスタグラム:@kaorilotta
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