• 行き場のない猫たちを、新しい家族が見つかるまでの間自宅でお世話をする「猫の預かりボランティア」。小禄広海さんは、鎌倉と逗子の境にあるちいさな港町でお菓子づくりをする傍ら、保護猫活動の一環として「猫の預かりボランティア」を行っています。現在、共に暮らしているのは、“預かりっ子”と呼んでいる4匹の子猫たち。そんな広海さんと“預かりっ子”たちの日常をつづった「ねこおば日記」をお届けします。今回は、 ハチの退院と再入院のお話です。

    ハチの退院と、動物病院の待合室での出来事

    さて、ハチの手術は無事に終わり予定では1週間と言われていた入院期間が、あまりにも不安そうだったので3日ほど早く退院させてもらう事にしました。

    画像: ハチの退院と、動物病院の待合室での出来事

    困った時はいつも頼る友人にお願いして、車で再び病院へ向かう。待合室にて呼び出される直前、私と友人の喋り声が聞こえたのか、診察室からハチの鳴き声がする。

    診察室に入ると、「遅い! 」とハチにクレームを受ける。キャリーに自らそそくさと入るハチ。人間は説明を受け、また待合室に戻る。

    待合室には今回の件で最初に来た時と同じお父さんの腕に抱かれた中型犬がいた。前回も今回も犬はガクガクと震えている。

    ちなみに私は動物病院の待合室が好きだ。皆ほぼ具合が悪い訳だから好きなんて不謹慎かもだが、あっちを向いてもこっちを向いても動物がいるんだもの。

    でも、隣のガクガクした子は心配。聞くと、末期癌だという。そしたらそれを聞いた他の飼い主のお母さんが、うちも前の子が……、と言いながら涙目になり、おかげで私も涙目になってしまう。

    なんなんだ、この、動物を介する共感力。呼ばれて、涙目で支払いをしたのは金額がおそろしかったからではない。

    ハチ、再び病院へ

    病院をあとにして、ハチはやっと家に戻ってきた。皆が出迎える。

    退院したのが金曜日で、週末は元気に過ごした。ご飯も足りないと文句を言って(胃が回復するまではごはんも少しずつに抑えている)。

    久しぶりにまともな便もでた。

    画像1: ハチ、再び病院へ

    ところが月曜日、朝からまた食欲がない。嘔吐も数回。観察するとうんちを出したいのに力んでも出ない。脱腸気味でもある。

    筋力が衰えているせいもあるのか、力みすぎてふらついて、しまいには倒れてしまう。今度は近くの主治医に行く。

    診てもらうと、肛門付近の腸が歪んでいて便が引っかかっているらしく、先生に出してもらう。

    ハチは疲れていて、その日は夕方から関東は今年初の雪でこれから酷くなる予報。もし、夜や朝にもっと具合が悪くなっても病院に来られないかもしれない。

    次の日は抜糸予定だったのもあり、先生にお願いして入院させてもらうことにした。何事もありませんようにと祈りつつ、その夜を過ごした。幸い、次の日、先生から元気になったと連絡があり、午後、雪が溶けた道をまた迎えに行く。

    結局、腸が歪んでいたのは一時的だったようで、最初は脱腸気味だったのも徐々に良くなり、今は傷も癒えて元気になった。あとは減った体重を取り戻し成長するばかり。

    お腹だけまだハゲていてかわいい。

    画像2: ハチ、再び病院へ

    具合が悪い時は、少しは夫にも気を許していたが、今はまた逃げている(笑)。それに相変わらずお客さまが来てもほぼ隠れる。

    でも私には甘えるし、なんなら今いる子猫の中ではいちばんの甘えん坊。今も私の膝を独占している。

    彼みたいな、家族や誰かにだけ甘える子がいちばん甘えん坊だったりする。直ぐには慣れなくても、年単位で距離が縮まる感慨深さたるや。

    術後、疲弊した姿を見た時は、もうウチの子でいいかもと思ったけれど、元気になった今はやはり、若くて元気ならウチに居るべきではないと思うし、それこそ今後、どうしても里親に出せない子が出た時のためにもキャパシティは空けておきたい

    ハチのお腹の中にあった異物とは?

    で、みなさん気になる誤飲について。何を食べてしまったのか。

    それは、キッチンのダスターの一部と、キッチンシンクのネット(ストッキングタイプ)の口のゴム部分を噛みちぎったものでした。

    うちはアイランドキッチンで、食べ物は出ていない。

    画像: ハチのお腹の中にあった異物とは?

    だからなのか、特にハチは少しでも動物性の匂いとか気配が残っていると必死になって探す。キッチンをよく使う夫には毎回、ネットの中身も片付けてもらっているのだが、拭いたクロスとネットに動物性の匂いやカケラが残っていたのだと思う。食べ物の汚れが付いていた服を思いっきり噛まれる事もあるから。

    いちど、朝起きたら排水口の蓋も外れ、床にシンクのネットが転がっていた事があった。気づかなかったけれど、きっとあの時齧られていたのだと思う。

    預かり猫の“あるある”

    我が家には子猫が1年を通して10カ月位はいて、しかも複数。そんな環境で彼らは食べ物に執着して奪い合うように食べる。

    たぶん心理的に一匹がそうだと皆に伝染する。動物も人間も大所帯あるあるなのかな。心理的なのと成長とで、里親さんの元に移ると執着が無くなったりもする。

    いまはシンクに蓋をして、より気をつけるようにしている。おもちゃのネズミではなかったけれど、ネズミも全て処分した(笑)。今回、やはり紐がいちばん危ないということもわかった。

    次回は、血縁関係はないものの、同じ釜の飯を食う同期生のシロップについて。こちらも男子なのにお腹を開いたのは何故か、お話したいと思っています。

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    画像: 預かり猫の“あるある”

    小禄広海(おろく・ひろみ)
    幼少の頃からお菓子作りが好きで、Bakeromi(ベカロミ)という名前で活動中。現在は鎌倉、材木座にあるカフェに毎日お菓子を納める傍ら、猫の預かりボランティアを中心に保護活動もする、バタバタな毎日。来世はやはり家猫になりたい。
    インスタグラム@catladyorock@bakeromi



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