• 春本番で、うっとうしい花粉症シーズンの到来です。症状が楽になる暮らし方を源保堂鍼灸院・瀬戸佳子先生に教わりました。今回は、花粉を入れない&反応させないための「脾」のケアについて伺います。
    (『天然生活』2023年4月号)

    花粉を入れない&反応させない「脾」のケア

    バリア機能「衛気」「正気」を活躍させるためには、「脾」の役割が大切です。「脾」の役割とケア法をまとめました。

    脾の役割とは?

    画像: 脾の役割とは?

    東洋医学における「脾」とは、食べ物の消化・吸収を担う胃腸関係のこと。食べ物から体の材料を得たり、気力・体力の原料をつくるほか、花粉と戦うバリア機能「衛気」「正気」の原料もつくります。

    質のいい食べ物を食べ、それらが100%「衛気」や「正気」に変換されればいいのですが、「脾」の働きが弱い(=胃腸の働きが弱い)と、せっかくいい食べ物を体に入れても、大して「衛気」や「正気」が育たないという状態が起こります。

    つまり元気になるためには、質のいい食べ物を食べると同時に、「脾」のケアをすることがとても大事なのです。

    脾をケアするとどうなる?

    画像: 脾をケアするとどうなる?

    これから紹介する「脾」のケアをこまめに続けていくと、体に入った食べ物がしっかり消化・吸収され、体を動かす動力源の「気」と栄養や老廃物の運搬を行う「血」が生み出されます。

    それにより体の外側にも内側にも、上記の「衛気」「正気」のバリア機能が存分に働くようになっていきます。つまり、しっかり胃腸のケアを行えば、免疫力がアップし、花粉症の症状も緩和されるのです。

    花粉症の対策というと、つい「咳や鼻水を抑える」「目やのどのかゆみを取る」といった対症療法に目がいきがちですが、「脾」のケアは花粉に負けない体をつくる根本的な対策になるのです。

    脾のケア①
    発酵食品をよく食べる

    画像: 脾のケア① 発酵食品をよく食べる

    東洋医学では発酵食品は「脾」の味方といわれており、スムーズな消化を促してくれます。おすすめは発酵調味料をしっかり取り入れること。味噌汁の味噌をはじめ、塩麴、しょうゆ麴、酢などを意識して使いましょう。

    脾のケア②
    午前7~9時に温かいものを食べる

    東洋医学では活動的になる時間帯が臓器ごとに決まっているとお伝えしましたが、朝の7~9時は、胃の時間帯。

    この時間におなかにやさしい味噌汁やスープなど温かいものを食べることが、胃の養生につながります。

    脾のケア③
    寝る3時間前までに夕食を食べる

    画像: 脾のケア③ 寝る3時間前までに夕食を食べる

    就寝する時間にはすでに、食べ物の消化を終わらせておきましょう。逆算すると、寝る3時間前までには夕食を終わらせるようにして。

    胃に食べ物が残ったまま寝ると、花粉症を悪化させる「痰湿」がたまりやすくなります。

    脾ケアで食べたい料理①
    味噌汁

    画像: 脾ケアで食べたい料理① 味噌汁

    『養生訓』で有名な江戸時代の学者・貝原益軒も「生まれてから亡くなるまで欠かせないもの」と、味噌汁の有効性を説いています。

    とくに春先は、消化がよく「気」を補うキャベツや山いも類の味噌汁がおすすめです。

    脾ケアで食べたい料理②
    かぶや大根

    画像: 脾ケアで食べたい料理② かぶや大根

    「脾」にやさしい食材といえば、かぶと大根。どちらも消化酵素の多さでも知られている野菜です。ぬか漬けやスープ、蒸して温野菜サラダなどに。

    細かく切って白米と一緒に煮た、「かぶ粥」「大根粥」は、最高の養生食です。



    <監修/瀬戸佳子(源保堂鍼灸院) イラスト/ヤマグチカヨ 構成・文/田中のり子>

    瀬戸佳子(せと・よしこ)
    国際中医薬膳師。国際中医専門員。東京・青山の「源保堂鍼灸院」併設の薬戸金堂で、漢方相談を行いながら東洋医学に基づいた食養生のアドバイスを行う。雑誌やweb、セミナーの講演などでも幅広く活躍。著書『お手軽気血ごはん』『季節の不調が必ずラク~になる本』『気血スープ』(すべて文化出版局)が好評発売中。https://genpoudou.com/

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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