(『天然生活』2022年3月号掲載)
シンプルは豊かな暮らし
私にとってシンプルな暮らしとは、ものを持たない不便な暮らしではありません。
必要なものと好きなものだけに囲まれたストレスフリーな暮らしです。いらないものがたくさんあると落ち着かないですし、ものがさっと見つからないとストレスも生まれます。
ボールペンも爪切りもお気に入りのものをひとつ、いつでも同じ場所に置いておけば使いたいときにすぐ手に取れます。少ないもので暮らせば、片づけも掃除も楽。
家ではゆっくりしたいので、よけいなものは持たないようにしています。
ドミニック流の自分らしい「シンプル」の見つけ方
きれい好きだった昔の人の暮らしに憧れるというドミニックさんが実践する、シンプルな毎日を送るヒントです。
持ちものは、長年の友のようなもの
使わないものに囲まれた生活は、見知らぬ人と暮らしているようなものですから、友人のように慣れ親しんだものだけを家に置くようにしています。
私にとっては使い込むほどに髪につやが出るつげの櫛や、おいしいお茶が淹れられる急須がそれです。
歳を重ねるほど、暮らしをシンプルにする
年齢を重ねると重いものは持てなくなり、ものを動かすのも大変に。
「子育て中に使っていた大きな鍋は小さな鍋に」「重いふとんは軽い羽毛に」など、年齢に合った扱いやすいものを選ぶことで、ストレスフリーな心地よい毎日を過ごせます。
捨てることへの罪悪感を捨てる
不要品を手放す際、お金を捨てるような罪悪感を抱いていませんか。でも、心により重くのしかかるのは「持っているから使わなくては」という罪悪感です。
捨てるという小さな罪悪感をむだなものと一緒に手放せば、大きな罪悪感からも解放されます。
シンプルな暮らしで得られる小さな幸せ
私にとってシンプルに暮らすことは、自然なこと。ものが多いと落ち着かないし、捜すのも大変だけれど、少なければ片づけも楽で、のんびりできます。
いつでも旅に出られるような、身軽さが好きなのです。
ものを捜すことが減る
ぼーっとできる
身軽に行動できる
<取材・文/長谷川未緒 イラスト/カトウミナエ 協力/原 秋子>
ドミニック・ローホー(どみにっく・ろーほー)
著述業。フランス生まれ。ソルボンヌ大学で修士号を取得後、イギリス、アメリカ、日本で教鞭をとる。シンプルな生き方を提唱した著書がベストセラーに。『捨てる贅沢 モノを減らすと、心はもっと豊かになる』『少ないもので料理する シンプルな台所で、ミニマムクッキング』(ともに幻冬舎)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです