(『天然生活』2022年4月号掲載)
よい習慣を増やすことがおのずと太らない暮らしに
近頃、なんだかすっきり軽やかで楽しそう、と噂のしらいさん。
「少しだけ習慣を変えたんです。それはスタイルのためではなく、老後の健康維持のため。ごはんは、3食しっかり食べています」
以前は、ダイエットマニアを自称するほど、さまざまな方法を試していたそうですが、ようやくたどり着いた答えは、“バランスよく食べ、ほどよく運動をする”という、基本に立ち返るもの。
それはダイエットと呼ぶよりも、生活スタイルを整える、という表現がぴったり。しらいさんはとにかく、大人のダイエットは持続可能であることが大切と力説します。
「何かを我慢していると続かないんです。そして結局、それまで以上に太ってしまう。少し前まで、“糖質オフダイエット”が流行っていましたよね。あの方法だと、大好きな“ごはん”が食べられない。お米料理を専門とする私には、致命的でした。自分に向かないことに挑むより、できることを着々と続け、習慣化して長く続けていくことが大切だと思ったんです」
そこで、しらいさんが選んだ方法が、“脂質オフ”。とはいえ、歳を重ねた私たちの肌は、脂質を抜くことでカサカサになったりしないのでしょうか……? なんて心配は、目の前のしらいさんのつやつやっぷりを見れば愚問でした。
ごはんは量って3食きっちり食べる
ごはんは、食べすぎはさすがにNGですが、抜いたり量を減らすと、筋肉量が減って代謝が落ち、結果として太りやすい体になります。
「最初はたとえば150gなどきちんと計量し、感覚を正しくつかんでください」
実際によそってみると、イメージより多くて安心するはず。
「ダイエットの失敗の多くは、食べられないというストレスから。ごはんは『しっかり食べた』と満足できますよ」
食べてよい食材を把握する
細かいカロリー計算は、やる気あふれるダイエットのスタート時にはがんばれるけれど、だんだん面倒になりがち。
「鶏もも肉よりむね肉、さらに脂の多い皮は取り除く。豚肉もバラよりももを選ぶなど、せめて基本だけでも覚えるといいですよ」
さらに、魚は総じてカロリーは低めですが、比較すると青魚は脂質が多め。
「とはいえ体にいい脂なので、食べすぎない程度に摂っていきましょう」
体重も食事も毎日記録する
ダイエットに、“なんとなく”は禁物。しっかり数値化&データ化することで、やる気がアップします。
体重と食事の記録を続けると、あとから振り返って増えた理由や減った理由がよくわかり、続けるべき習慣、やめるべきクセなどが一目瞭然。
「体重の細かな増減には、一喜一憂しないのも大切。『長い時間をかけてやせるのがいいダイエットだ』と自分に言い聞かせ、記録を続けてくださいね」
プロの力を借りることも大事
健康的な体づくりには運動が必要なことはわかっているけれど、一体、何を始めていいのやら。しらいさんは、最初だけでもプロに頼るのが一番楽といいます。
「トレーニングは自己流で行うと、効果が思うように出なかったり、怪我をしたりの心配も。そこで私は、トレーナーに自分に合った効果的なメニュー作成をお願いし、フォームを確認してもらいながら、コツコツと続けています」
おやつは洋より和
生クリームやバターなどの油脂分をたっぷり含む洋菓子よりも、おすすめしたいのはあんこやもち米を原料とした和菓子です。
「お菓子に限らず、カロリー自体はそんなに変わらなくても、どんな栄養素を摂るかも健康的なダイエットにはとても大切なこと。ケーキ1個で500キロカロリーを摂取するより、同じカロリーでもごはん、味噌汁、おかずでバランスよく摂取した方が、体にいいですよね」
<撮影/山田耕司 取材・文/福山雅美 構成/鈴木麻子>
しらい・のりこ
夫のシライジュンイチ氏とともに、ごはん好きの、ごはん好きによる、ごはん好きのための炊飯系フードユニット「ごはん同盟」を主宰する料理研究家。「ダイエットは、一過性のものではなく、新しい、よい習慣を続けていくことなのです」
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです