(『天然生活』2020年5月号掲載)
おはらあやさんの「フルーツサンド」
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
果物が大好き。そして、かねてより喫茶店を営む夢を持っていた店主のおはらあやさん。その思いをかたちにして、はじめてのお店を開いたのは2016年のこと。営業日はひと月に3日だけでしたが、看板メニューのフルーツサンドは、そのおいしさと、希少性から、“幻のフルーツサンド” とも呼ばれていたほど人気を博しました。
「フルーツサンドは、オープン前に何度も試作。とくに大切にしたのは、このクリームです。私自身、実はホイップクリームが大好き、というわけではなくて。理想は、脂肪分が口に残らずさっぱり。けれどもコクを感じるクリームです。いろいろな人の意見も取り入れながら、試作を重ねました」
今回「基本のクリーム」として教わったクリームは、水きりヨーグルトの酸味に、はちみつのコクが広がります。たっぷり食べても重くなく、合わせるフルーツを選びません。甘さも控えめだから、あんこやマーマレードを加えたアレンジも自在に楽しめます。
フルーツサンドをつくる際には、クリームのしぼり方や果物の配置など、気をつける点は多くあります。でも、まずはフルーツに触れ、楽しんでほしい、とおはらさん。
「果物の色彩を眺めたり、ソテーするときの香りを味わったり。素敵な時間を過ごしてください」
「ミックスフルーツサンド」のつくり方
切った断面の美しさに目を奪われるサンドイッチ。「基本のクリーム」は、コクがあるのに口溶けあっさりです。
準備
水きりヨーグルトをつくる。
コーヒードリッパーまたはざるに厚手のキッチンペーパーを敷く。
水受け用に、下にグラスやボウルを置く。
ヨーグルトを入れ、ラップをして冷蔵庫でひと晩おく。
250gのヨーグルトから約100gの水きりヨーグルトができる。
材料(2人分)
● 食パン(10枚切り) | 4枚 |
● いちご | 2粒 |
● バナナ | 2/3本 |
● キウイ | 1/2個 |
● 黄桃(缶詰) | 半切り1個 |
<基本のクリーム(つくりやすい分量)> | |
・ プレーンヨーグルト(無糖・250gを水きりしたもの) | 約100g |
・ はちみつ | 50g |
・ 生クリーム(乳脂肪分約35%) | 100g* |
・ 生クリーム(乳脂肪分約47%) | 100g* |
・ グラニュー糖 | 5g |
* 乳脂肪分約42%の生クリーム200gでもよい。 |
※基本のクリームは、2人分で約180g(1/2量)を使用。
「基本のクリーム」のつくり方
1 水きりしたヨーグルトとはちみつをよく混ぜておく。
2 生クリームとグラニュー糖をボウルに入れ、氷水を張ったボウルに重ねる。5℃前後に冷やしながらしっかりと9分立てに泡立てる。
3 生クリームを片側に寄せ、もう片側に1を加える。生クリームをつぶさないように、ゴムべらで底からすくい上げながら混ぜる。
4 半量を平たい口金を付けたしぼり出し袋に入れ、使う直前まで冷蔵庫で冷やしておく。
「基本のフルーツサンド」のつくり方
1 いちごはへたを取り縦半分、バナナは皮をむき、長さを半分に切って、さらに縦半分に切る。キウイは皮をむき、4等分の半月切りにする。黄桃は4等分のくし形切りにする。キッチンペーパーを敷いたバットに広げておく。
2 食パンを2枚1組にして、1枚に基本のクリームをしぼり出す。しぼり袋を使うことで、クリームがムラなく均一にのせられる。
3 いちご、バナナ、キウイ、黄桃を写真のように並べる。高さ3等分、幅2等分の点線は切り分ける位置なので、点線を意識しながらフルーツを並べると、切ったときに美しい。
4 フルーツの上に基本のクリームをしぼり出し、もう1枚のパンを重ねる。パンの上からやさしく手で押さえて、落ち着かせる。
5 ラップで包む。3の向きで切り始めるため、写真のように包んだり、印をつけたりなどして手前がわかるようにする。30分~1時間、冷蔵庫で冷やす。
6 5を冷蔵庫から取り出し、ラップをはずして3の向きになるように置く。ナイフは、熱湯を入れたピッチャーや魔法瓶に入れ、温めておく。
7 ナイフを熱湯から取り出し、キッチンペーパーなどで水けをよくふく。
8 6~7を参考にして、その都度ナイフをふき、適度に温めながら切る。まず、4辺の耳を切り落としてから、写真のように6等分にする。
<料理/おはらあや 撮影/吉森慎之介 スタイリング/荻野玲子 取材・文/河合知子 撮影協力/UTUWA>
おはらあや
2016年に予約制の小さな喫茶店「フルーツ喫茶オハラ」を開店。2019年からはフルーツの魅力を伝える焼き菓子の制作もはじめ、各地イベントなどにも参加している。現在は、長野県安曇野市へ移住。果実と美しい水に恵まれた地で、菓子製造のアトリエとフルーツ喫茶再開に向けて準備中。インスタグラム@fruitsandwich_ohara
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです