病気やケガ、災害時の食事について考えた
少し前のことです。熱がでて1週間ほど起き上がることができませんでした。熱が下がったあとも、咳が1ヶ月ほどつづき、疲れやすく、回復するのに時間がかかりました。体調が優れない人が周りにも多く、時期的なものか、年齢的なものかわかりませんが「できるだけ健やかにいられるように」と改めて思いました。
発熱中は病院に行くこともできず、ひたすら眠りつづけました。食欲がなかったので、最初は水分を摂ることだけ気をつけていましたが、途中で「何か口にしたほうがいい」と思い、冷蔵庫にあった甘酒を温めていただきました。いつもは、買い置き、作り置きをほとんどしないのですが、病気やケガ、災害はいつ起こるかわかりません。この2点については「いまのわたしに合わせた見直しが必要」と思いました。
もしもの時の不便さに気づく重要性
日常生活は、問題のない状態を基本として考えられています。社会システムもこどもや歳を重ねた方用ではありません。自分がその層にいる時には気づかなかった不便さに人はある時、気づくのです。時には、体力がなくなった自分や、もしかしてこれは将来的に不便かもしれない、 という視点で周りに目を向け、自分に重ね合わすことも大切です。
今回のことを受け、甘酒のように、温めるだけで、おいしくいただけ、栄養価も高い。そういったものを改めて探すことにしました。ストックと言っても災害時ではないので、ある程度、保存ができ、食べたくなるようなものです。
シンプルでおいしいストックを探す
探しはじめると、いままで見ていなかったものが見えてきます。おかゆ、スープ、麺類。おいしそうなものがたくさんありますね。体調が悪い時は、化学調味料の味や強い香りに敏感なので、できるだけシンプルなものを選びます。また、気持ちも落ちやすいので、そちらは「おいしそうなパッケージ」でカバー。これで次回、寝こんだとしても、4、5日は大丈夫でしょう。
具合がよくないことを察し「買い物に行きましょうか」「何か届けましょうか」と、メールが届いたこともうれしいことでした。今回は、お願いしないで事足りましたが、そう言ってくれる方が比較的近くにいてくれるのは心強いものです。多少の差はありますが、みなさん同年代。これからは、そういうやりとりが増えるのでしょうね。
60歳までのメモ
1 何かあった時のために暮らしを見直してみる
2 体調が優れない時に必要なものを用意しておく
3 通える病院を見つける
4 必要なことなどメモをしておく
5 自分以外の誰かに思いを馳せる
広瀬裕子(ひろせ・ゆうこ)
エッセイスト、設計事務所岡昇平共同代表、other: 代表、空間デザイン・ディレクター。東京、葉山、鎌倉、香川を経て、2023年から再び東京在住。現在は設計事務所の共同代表としてホテルや店舗、レストランなどの空間設計のディレクションにも携わる。近著に『50歳からはじまる、新しい暮らし』『55歳、大人のまんなか』(PHP研究所)他多数。インスタグラム:@yukohirose19