(『天然生活』2021年10月号掲載)
思い出で埋め尽くされた、石川さんちの壁
「うちの夫婦はお互いにものが多くて、飾るのが好きなんです。結婚当初、同じマンションの別の階に住んでいたころは、ものを収めるためにリビングにも廊下にも飾り棚をつけていました。でも、いまの部屋に引っ越してからは、もっとラフでいいと思って、壁をシナベニヤ張りにしたんです。気兼ねなく画びょうが刺せるから、自由に、好きなように、壁面を使えるようになりました」
シナベニヤの壁は、写真から雑貨まで、実にさまざまなもので埋め尽くされています。
たとえば、石川さんのお店が初めて雑誌で紹介されたときの中吊り広告、娘さんが赤ちゃんのころの寝返りをうっている写真、お義父さまが描いた油絵。
そんな家族の歴史の合間に、アンティークの雑貨があったり、時計や輪ゴムなどの実用品がさがっていたり……。
大きな木の枝まで吊るしてあったので、その正体を尋ねてみると、「もうすぐ娘が生まれるってころに、夫が道端で拾ってきたんです」と、まるで昨日のことのように楽しそうに語る石川さん。
枝の先には、石川さんが愛犬の散歩のときにかぶる帽子が引っかけてあり、25年以上前の拾いものが家族とともに時間を刻んでいることを感じさせるのでした。
石川博子さんの収納の工夫
日々の記憶と暮らす、思い出の収納術
壁面を有効活用することで、部屋全体が思い出箱のように。CDやコレクションの収納にも、長年の愛着のあるものを使っています。
気軽に飾れるよう壁一面をシナベニヤに
家族写真、拾った植物、夫の作品、両親による絵画や染め物など、石川家のさまざまな軌跡をコラージュ。
「白い壁だと汚れや傷が気になったりするけれど、ざっくりした材質の木なら気兼ねなく画びょうを刺したりテープを貼ったりができるんです」
毎年の年賀状が家族の記録
15年以上、年賀状は家族3人のジャンプ写真。並べて貼っていると移り変わりが感じられる。
「だれかが跳べなくなるまで続けたいですね(笑)」
お気に入りのCDをユーズドのボックスに
音楽はCDで聴くという石川さん。
CDプレイヤーがある棚の上にユーズドのツールボックスを置き、よく聴くCDをセット。
集めた石はオブジェとして飾る
石が好きで、出かけた各地で拾い集めているという。
かれこれ30年以上愛用している植松永次さん作の陶器に並べて、光があたる窓際へ。
頼れる収納アイテム
シンプルな壁ピン
壁に写真を貼るとき、雑貨を吊り下げるとき、一番好きで手軽に使えるのは画びょう。
なかでも悪目立ちしない透明のピンを愛用している。
メンディングテープ
メモなど紙ものを貼るときは、メンディングテープを使うことも。
マットな質感で目立たず、劣化しにくいからセロハンテープよりはがしやすい。
アイアンもの
鉄の素材が好きで、とくにワイヤーのバスケットは、ラフに収納できるところがお気に入り。
石川さんのお店でもさまざまなタイプを扱っている。
<撮影/有賀 傑 取材・文/石川理恵>
石川博子(いしかわ・ひろこ)
東京・恵比寿で生活まわりの雑貨店「ファーマーズテーブル」を営む。オンラインショップや公式YouTubeも展開中。インスタグラム@farmerstable_ebisu
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです