(『天然生活』2021年5月号掲載)
運動は楽しんで行うのが一番
今回、ご紹介する筋トレは、外から触ってわかるような筋肉だけではなく、インナーマッスルといわれる体の内側の筋肉量も増やしていけるトレーニングです。
最初は筋肉痛になったり、疲れたりするかもしれませんが、続けていくうちに、体の変化を実感できます。
「筋肉を鍛えるというよりは、動かしてあげようという気持ちで行いましょう。肩こりや腰痛が改善し、体が軽くなるはずです。やらないと調子が出ない、と感じるようになれば、しめたものです」
実は樋口さん、学生時代にボート部でコックス(声をかけて舵取りする役割)を務め、いまも仲間とシニアの部で試合に出ているそう。
「運動は、なにより楽しんで行うのが一番です。体苦(たいく)になってはいけないので、決して無理をしないでくださいね。ミュージックを音楽というように、トレーニングやエクササイズは『動楽(どうらく)』ととらえ、続けていきましょう」
継続は力なり。
楽しみながら体を動かそう。
ゴムチューブを使ったローイングエクササイズ <5分間を2回>
有酸素運動と筋トレが同時にできるエクササイズ。日によっては1日10分でできる筋トレの代わりにやるのもおすすめです。
「ローイング」とは、ボートを漕ぐという意味。この動きは、大腿部と体幹部の筋量を増やして、筋力をアップします。また有酸素運動的な要素もあるため、体脂肪を減らし、全身持久力を高めます。
肥満・動脈硬化・心筋梗塞・糖尿病といった生活習慣病の予防につながる可能性も。座って行うため、膝に大きな負担がかからず、膝に痛みを抱えている場合にも無理なく取り組めます。
筋肉がついて、脂肪を落とせる、最強のトレーニングです。
1 床に厚めの座布団やクッションを置く。その上に両脚をそろえて、姿勢を正して体育座りをする。トレーニングチューブを足の裏にひっかけ、チューブをしっかりと握ったら、膝をまっすぐに伸ばす。
2 「いち」のかけ声で両脚を前に蹴り出し、胸を張って肩甲骨を回すようにしながら両肘を引く。かかとが滑りにくければ、薄手の靴下を履く。脚と腕を同時に動かすことが難しい場合、どちらかの屈伸だけでOK。
3 「に」のかけ声で力を抜いて、上体を起こしながら両腕を前に戻す。このとき両肘、両膝はしっかり伸ばしていること。
4 「さん」のかけ声で、両膝をおなかに引き寄せるようにして、両脚を曲げる。1〜4の動きを1分間に20回繰り返し、5分間続ける。
トレーニングチューブを使うと便利
ボート漕ぎの動作を陸上でできるローイングエルゴメーターは高価。トレーニングチューブは、同じ動きを手軽にできる。
<監修/樋口 満 イラスト/にしごりるみ 取材・文/長谷川未緒>
樋口満(ひぐち・みつる)
早稲田大学スポーツ科学学術院名誉教授。教育学博士。アクティヴ・エイジング研究所顧問。健康スポーツ科学、スポーツ栄養学を研究。ハンガリー体育大学名誉博士。第20回秩父宮記念スポーツ医・科学賞功労賞を受賞。『女は筋肉 男は脂肪』『体力の正体は筋肉』(いずれも集英社新書)など著書多数。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです