(『天然生活』2023年6月号掲載)
肝と腎を補うための養生
「肝」と「腎」の潤いを一気に減らさず、ゆっくりなだらかに。養生によって、更年期の不調を和らげましょう。
「肝」と「腎」の潤いが不足する
肝腎陰虚(かんじんいんきょ)の人におすすめの食養生
「肝腎」の潤いが減っていくのは避けられないことですが、ガクンと一気に減るか、ゆるやかにいい塩梅で減っていくかで、更年期の辛さには格段に差が出ます。
一気に減らすような生活習慣を避けるとともに、「肝腎」の潤いのもととなる食べ物を意識して食べつづけましょう。
いか、たこ、貝といった魚介類、「肝」を補うレバー、赤身の肉や魚、ほうれんそうなどの青菜類。
「腎」を補う黒い食材(黒豆、黒ごま、黒きくらげ)、山いも、すっぽんなど。すっぽんは手軽に飲めるドリンクもあるので、疲れたときに飲むといいでしょう。
薬膳素材で有名なクコの実やなつめなどもおすすめです。食養生は効き目がゆるやかで、薬のような即効性はありません。
効果が出るのに数カ月かかるといわれていますが、コツコツ続けていけば、違いが現れます。
肝と腎を補う食材
いか、たこ、貝類(かき、あさり、ほたてなど)、かつお、まぐろ、レバー、黒い食材(黒豆、黒ごま、黒米、黒きくらげ)、山いも、クコの実、すっぽん
「肝」と「腎」の潤いが不足する
肝腎陰虚の人が取り入れたい暮らしの養生
目をよく休める
東洋医学では「肝」と目は密接な関係があると考え、目疲れは「肝」を消耗させる原因に。
長時間パソコンを使ったり、スマートフォンを見すぎたりと目を酷使することは、老化も早めると意識して。
早めの時間にたっぷり寝る
寝不足は「血」不足の原因に。また同じ睡眠時間でも、床につく時刻が深夜になれば、「腎」の潤いが消耗し老化は早まることになる。
40代以降は夜更かしを避け、できれば日付が変わる前に就寝を。
働きすぎに気をつける
若いうちの無理は体力でリカバリーできるが、年齢を経てからの過労は、生命力をそぐ行為に。
自分が背負える荷物の限界を知り、優先順位をつけ、キャパオーバーになることは避けるように。
お風呂はぬるめの温度で
熱いお風呂は、減り気味の「潤い」をさらに減らす危険があるので要注意。
温度はぬるめで、ゆっくりリラックスして入るくらいを目安に。汗を大量にかくサウナも、「潤い」を減らす原因になる。
自分のために時間を使う
更年期にさしかかる40代から50代は、子育てや親の介護に明け暮れ、仕事も責任のある役割を任されがち。
忙しくとも自分のことを後回しにせず、楽しみを見つけて適度にストレス解消を。
上手に気分転換を行う
考えすぎや、モヤモヤしたストレスは、「肝」にとって負担に。
そんなときは家にこもらず、散歩に出かけたりして、負担にならない程度に体を動かすのがおすすめ。気もスムーズにめぐりやすくなる。
<監修/瀬戸佳子(源保堂鍼灸院) イラスト/カトウミナエ 取材・文/田中のり子>
瀬戸佳子(せと・よしこ)
国際中医薬膳師。東京・青山「源保堂鍼灸院」併設の薬戸金堂で、漢方相談を行いながら東洋医学に基づいた食養生のアドバイスを行う。著書に『お手軽気血ごはん』『季節の不調が必ずラク~になる本』『気血スープ』(すべて文化出版局)。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです