(『天然生活』2023年6月号掲載)
肝腎ケアを怠ると深刻になる、更年期の症状
心が不安定になる「心腎不交」
「腎」は「陰」の性質を持ちます。五臓の仲間であり、全身に血を送り出す役割を果たす「心(しん)」は「陽」の性質。
陰陽は交流し合いながらバランスをとっているものですが、「心腎不交」とは陰陽がバラバラになってしまった状態のことで、自律神経やホルモンバランスの不調が現れます。
具体的には、夜に眠れない、気持ちがざわざわして心配がとまらない、動悸が激しくなるといった症状です。
もともと神経質だったり、心配性だったりする人がなりやすい傾向にあります。
心腎不交の人に出やすい症状
⚫︎不眠 ⚫︎動悸 ⚫︎心がざわつく ⚫︎もの忘れが多くなる ⚫︎細かいことが気になる
心腎不交におすすめの食養生
「心」を落ち着かせ、リラックスさせる食材を食べるとともに、カフェイン類やスパイスが効いた料理など、興奮・覚醒作用のある飲食物を避けるように意識を。
貝類は殻の部分が有効なので、殻付きスープなどがおすすめ。
◾️心を安定させる食材
殻付きの貝(あさり、しじみなど)、骨付きのさけ水煮缶、かたくちいわし、ゆり根、チンゲン菜、ウーロン茶
◾️控えたい食材
カフェインの強いもの、辛いもの、栄養ドリンク
心腎不交の養生 1
夜の時間帯は考えごとをしない
夜は「陰」の時間帯なので、静けさに身をおくことが大切。夕食後は仕事をしたり、スマートフォンを見たりするのは極力控えて。
テレビや映画など、気持ちが興奮するようなものを見るのも避け、考えごとをするのも控えるのが好ましい。
心腎不交の養生 2
細かいことが気になったら一度後回しにする
「心腎不交」は体力が落ち、判断力も落ちている状態。
ささいなことが気になりがちだが、細かなことを考えるのは、「心」を興奮させ「腎」を消耗させることに。
気になることがあったら、メモを取るだけにして、実行するのは余裕があるときに。
<監修/瀬戸佳子(源保堂鍼灸院) イラスト/カトウミナエ 取材・文/田中のり子>
瀬戸佳子(せと・よしこ)
国際中医薬膳師。東京・青山「源保堂鍼灸院」併設の薬戸金堂で、漢方相談を行いながら東洋医学に基づいた食養生のアドバイスを行う。著書に『お手軽気血ごはん』『季節の不調が必ずラク~になる本』『気血スープ』(すべて文化出版局)。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです