(『天然生活』2022年8月号掲載)
心地よく整えることで、むだなお金を使いません
「シンプルライフ研究家」という肩書を掲げて約10年。マキさんの考えるシンプルライフとは、「不要なものやことを手放し、いまの自分に必要なもの、お気に入りのものだけに囲まれた暮らし方」です。
必要なものだけで構成されていれば、迷う、探す、整理するなどの手間やストレスはなく、心にも時間にもゆとりが生まれると考えます。それは家事も一緒。
すべてを完璧にこなすのは難しい。できるだけむだをなくし、「ていねい」と「力をぬく」のメリハリをつけ、自分らしいルールと時間割りで、無理なく暮らしています。
そんなマキさん、最近、引っ越しをしました。引っ越しの荷造り、荷ほどきは、時間と根気のいる作業ですが、かかった日数はほんの2~3日。
「いる・いらない」の仕分け作業がない分、実にスムーズだったそう。家具も捨てるものはありません。「とりあえず」のものを持っていない暮らしの賜物です。
今回、「むだのない暮らし」について取材したところ、「これぞ節約のコツ」と教えてくれたことがあります。それは、家を最高に心地よい場所に整えておくこと。
「おうちでの時間に満足していれば、目的なく、ふらふらと出かけるようなこともないし、とくに必要のないものをついつい買ってしまうこともない。間に合わせの外食もしなくなると思います」
満たされているからこそ、「ほかの何か」を求めることはなく、時間にもお金にもむだが生まれないというわけです。
「時間とお金を使うなら、納得いく使い方をしたいですよね。そのためには、自分なりの優先順位を考えます。私の場合は、家での食事は何よりも大切なので、食費は惜しまないようにしています。また、快適性を保つための家賃や電気代も必要経費と捉えます」
ほかの家と比べて、食費や電気代が多かったとしても、その分、むだな外出や買い物がないので、結果的には節約になっているというのです。たとえば、私たちが「気分転換」に行くカフェも、マキさんはほとんど行かなくなったといいます。
「家のリビングの方がカフェより落ち着くと思えてしまって……。音楽も香りも自分の好み通りにコントロールできるし、最高じゃないですか?」
マキさんの「むだを出さずに、楽しむ暮らし」
カフェに行かずに自宅で息抜き
「コーヒー代って、ばかになりませんよね? だったら、家をカフェのようにすればいい、と発想の転換です」
往復の時間も、混雑したお店で飲食するお金も、もったいなく感じるのだそう。グリーンを並べたり、好きな音楽をかけて気分を高めたり、「おうちカフェ化」の演出は随所に。
「1杯数十円。かなりの節約ですね」
肝心のコーヒーは、こだわって選んだ無農薬の豆をハンドドリップします。
ハンガーの量以内に服は収める
あれこれと服を持たず、「マイ定番」を決めて、ワードローブをやりくり。
「定番が決まっていると、あれこれ迷う時間がなくなり支度がスピーディーに済みますよ」
ハンガーの量以上、増やさないと決めていて、ハンガーが足りなくなったら、服の見直しをするタイミングなのだとか。
「マイ定番はワンピース。上下のコーディネートに迷わなくていいし、インナーの調節で、長いシーズン着られます」
宅配活用で買い物のむだはなし
食材の買い出し、意外に体力と時間を使います。店内を行ったり来たりして選び、レジに並び、エコバッグに商品を自分で詰め……。また、お店に行くと、予定外のものを買ってしまうことはありませんか?
そんな負担やむだをなくすためにも、マキさんはほとんどの食材を宅配で調達。
「びんはリユースできるなど、ごみも少ない。たまにスーパーに行くことが、楽しく感じられるというおまけつき」
<撮影/山田耕司 取材・文/鈴木麻子>
マキ(まき)
会社員として働きながら、シンプルライフ研究家として活動。サイト「エコナセイカツ」や、オンラインサロン「シンプルライフ研究会」で、心地よく生きるための家事のコツや工夫を発信。近著『衣食住の「楽」家事のヒント 笑う家事には福来る』(主婦の友社)も好評。講演、ブランドとのコラボレーション商品開発、住宅プロデュースなども行う。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです