• 季節や体調に合った食材で体と肌の調子を整える。毎日、無理なく実践できる食養生法を取り入れて梅雨や夏をすこやかに過ごしましょう。薬膳アテンダントの池田陽子さんに、夏の体調管理法について伺いました。
    (『天然生活』2022年7月号掲載)

    夏が来る前に「ゆる薬膳」で体調管理

    これから、体や肌にとっては過酷な季節がやってきます。でもふだんの食事をとる際に少し意識すれば体調は整えられる、と薬膳アテンダントの池田陽子さんはいいます。

    「中医学では、食材のひとつひとつに体に及ぼす作用があり、季節や体調に合わせてそれらを日々の食事に取り入れることで不調を改善できると考えられています。いまの自分の体にとって必要な食材を積極的に取り入れ、不必要なものは控える。こうした考えのもとに行う食養生が薬膳なのです」

    池田さんが提唱している「ゆる薬膳」は決して難しいものではありません。日々の暮らしのなかで無理なく実践できます。

    夏の不調の原因

    暑さにより体力を消耗、心臓トラブルや不眠も

    夏は暑さにより1年で最も体力を消耗する季節。汗をかくことによって中医学でいうところの「気」、つまり元気の源も一緒に排出されてしまい、「だるい」「疲れやすい」といったいわゆる夏バテの症状を引き起こします。

    また、暑さは中医学で「心」と呼ばれる機能にも負担をかけます。

    血脈と血液循環、精神活動をつかさどる「心」が弱ると心臓トラブルや不安感、さらには不眠の原因にも。

    夏の体調管理法

    体の熱を払い、水分をしっかり補給することで夏バテ知らずに。また、中医学でいうところの「心」を養うことで快適に夏を過ごせます。

    夏バテしないために

    画像: 夏バテしないために

    暑い時季は汗と一緒に生命エネルギーである「気」が排出されてしまうため、夏バテの症状が出やすくなります。

    これを防ぐためには体にこもった熱を払い、水分を補うことが大切です。怠ると秋になって疲労や乾燥といったトラブルを引き起こすことに。

    また、夏は血脈と血液循環機能をつかさどり、精神活動とも関係がある「心」が弱りやすい時季でもあります。「心」を養う食材を積極的に摂ることも夏バテ対策のポイントです。

    夏の不眠対策

    画像: 夏の不眠対策

    チェックリスト

    □赤ら顔になり、汗をかきやすい
    □舌に口内炎ができる
    □もの忘れしやすい
    □夜更かしすることが多い
    □動悸や息切れがある

    夏になかなか眠れないのは暑さのせいだけではありません。暑さで負担がかかりやすい「心」は精神や意識といった脳に関わる働きも担っており、睡眠とも関係があります。

    「心」の働きが低下していると不眠になりがち。眠れない場合は「心」の働きを強める牛乳とレーズン、はちみつでつくるレーズンミルクがおすすめ。

    夏風邪を早く治すには

    画像: 夏風邪を早く治すには

    チェックリスト

    □体が重だるい
    □鼻水が多い
    □頭が重く痛む
    □下痢や嘔吐
    □なかなか治らない

    寒さや乾燥が原因の冬の風邪とは違い、夏風邪は蒸し暑さが原因。

    体が重だるい、頭が重く痛む、鼻水が多い、なかなか治りにくいなどが特徴です。

    なるべく早く回復するには熱を冷まして体内の湿気を取り除くことが大切。昆布やわかめ、ひじきなどの海藻類を積極的に摂るようにしましょう。食欲がないときはところてんが便利。



    <監修/池田陽子 イラスト/升ノ内朝子 取材・文/嶌 陽子>

    池田陽子(いけだ・ようこ)
    薬膳アテンダント。国立北京中医薬大学日本校卒業、国際中医薬膳師資格を取得。ふだんの暮らしの中で手軽に取り入れられる「ゆる薬膳」を提案。著書に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局)ほか多数。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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