• 季節や体調に合った食材で体と肌の調子を整える。毎日、無理なく実践できる食養生法を取り入れて梅雨や夏をすこやかに過ごしましょう。薬膳アテンダントの池田陽子さんに、夏に取り入れたい食材について伺いました。
    (『天然生活』2022年7月号掲載)

    大事なのは食材を通じて体のバランスを保つこと

    五臓にはそれぞれ対応する季節があり、その季節に弱りやすくなるので注意が必要です。

    梅雨は消化吸収や水分代謝をつかさどる「脾」の働きが弱くなるため、むくみや食欲不振、疲れといった症状の出やすい季節。

    夏は血液循環や精神活動をコントロールする「心」が弱くなります。また、汗をかくことにより「気・血・水」のすべてが減ってしまうのもこの季節の特徴です。

    そこで、食べ物を通じてその季節に弱りがちな体の部分を養い、不足しているものを補うというのが薬膳の考え方。

    梅雨どきには「脾」を養う食材や余分な水分を排出する働きのある食材を、夏は「心」を養う食材をはじめ、熱を冷ます食材や水分を補給する食材などを積極的に摂ることが体調管理の鍵となります。

    「たとえば“体を冷やす食材はよくない”と一概に思われがちですが、夏に体を温める食材を摂りすぎるとかえって体調が悪くなることも。薬膳で大切にしているのは食材を通じて体のバランスを保つこと。いまの自分に何が必要か、考えて食べることが重要なのです」

    夏に取り入れたい食材

    体に熱がこもりやすい時季は、体を冷やす「寒涼性(かんりょうせい)」の食べ物を。

    汗で失った水分を補う食材や「心」を養う食材も忘れずに。

    体の熱を冷ます

    画像: ゴーヤー、きゅうり、レタス、セロリ、冬瓜、みょうが、じゅんさい、緑豆もやし、すいか、バナナ、パイナップル、たこ、麦茶、ミント

    ゴーヤー、きゅうり、レタス、セロリ、冬瓜、みょうが、じゅんさい、緑豆もやし、すいか、バナナ、パイナップル、たこ、麦茶、ミント

    中医学ではすべての食材は体を温める「温熱性(おんねつせい)」、体を冷やす「寒涼性」、中間にある「平性(へいせい)」に分けられています。夏は体の余分な熱を除いてクールダウンする「寒涼性」の食材を摂ることが必要。

    ゴーヤー、きゅうり、セロリ、みょうがなどの野菜やパイナップル、バナナ、すいかなどの果物も寒涼性です。温熱性の牛肉やえび、ねぎ、しょうがなどはこの時季控えめに。

    汗で失った水分を補う

    画像: トマト、おくら、豚肉、キウイ、パパイヤ、マンゴー、梅干し、豆腐、牛乳、ヨーグルト

    トマト、おくら、豚肉、キウイ、パパイヤ、マンゴー、梅干し、豆腐、牛乳、ヨーグルト

    夏バテ解消には汗で失った水分を補うことも必要。とはいえ、水をたくさん飲めばいいわけではありません。

    体に体液を生み出す食材を補うことが大事なのです。おすすめはトマト、おくら、キウイ、梅、パパイヤ、マンゴー、豚肉など。

    夏の時季にしっかりと水分を補っておかないと、秋になって乾燥肌や気管支トラブルの原因になります。しっかりと対策しましょう。

    「心」を養う

    画像: 鶏や豚のハツ、れんこん、あさり、牡蠣、ぶどう、なつめ、ココナッツ、はすの実、小麦粉、はちみつ、卵、牛乳

    鶏や豚のハツ、れんこん、あさり、牡蠣、ぶどう、なつめ、ココナッツ、はすの実、小麦粉、はちみつ、卵、牛乳

    夏は誰でも「心」が弱りやすい季節。「心」が弱ると動悸や息切れといった症状や心臓系の病気、動脈硬化などが悪化しやすくなるほか、不眠トラブルも引き起こしやすくなります。

    この時季はれんこん、鶏や豚のハツ、あさりや牡蠣、小麦、はちみつ、卵といった「心」を養う食材をしっかり摂りましょう。これらの食材は落ち込んだ気分を回復させるのにも役立ちます。

    夏でも冷えたら温める、自分でできる食養生

    冷房で冷え切った体にはねぎやしょうがを

    画像: 冷房で冷え切った体にはねぎやしょうがを

    夏の食養生は体の熱を冷ますことが基本ですが、冷房が効いた部屋に1日中いて体が冷え切ってしまった、という場合は話が別。

    ねぎやしょうがなど、体を温める食材を取り入れましょう。逆に高熱や体に炎症が出たりしているときに温める食材を摂ると症状を悪化させるだけです。

    薬膳の基本はいまの体調に合った食材を取り入れて体のバランスをとること。自分に合った食養生を心がけましょう。



    <監修/池田陽子 イラスト/升ノ内朝子 取材・文/嶌 陽子>

    池田陽子(いけだ・ようこ)
    薬膳アテンダント。国立北京中医薬大学日本校卒業、国際中医薬膳師資格を取得。ふだんの暮らしの中で手軽に取り入れられる「ゆる薬膳」を提案。著書に『中年女子のゆる薬膳。』(文化出版局)ほか多数。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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