(『天然生活』2022年10月号掲載)
シンプルな台所の扉を開ければ、仕切りやボックスで工夫をこらした収納スペースが
魔法のカスタマイズで、しまう場所を拡充していった前のDIYキッチン。一方、新しい台所には、引き出しも戸棚も最初から十分に備わっています。けれど、きっちり収めるには工夫が必要です。
そんなときに頼ったのがブックエンド。システムキッチンの大きく深い引き出しの中に、何個もブックエンドを立てて、仕切りをつくり、ものがぴったり入るように工夫をしています。
「仕切りを動かして、入れるものに合わせて収納スペースをつくれるのが便利です」
そのほか、ステンレスのストックポットや書類ケースなどで仕切りをつくるなど、スペースの「仕切り化」は完璧。
一見、シンプルなシステムキッチンですが、扉を開ければ、こてらさんならではの知恵が随所に見られます。コレクションの木の器だけは、しまい込まずあちこちに飾られ、温かみを添えているのも特徴です。
さて、前の台所と新しい台所、2種類ありますが、どちらも現役。仕事の内容や暮らしの状況に合わせて、使い分けているそうです。
「それぞれの場所を『月の部屋』『太陽の部屋』と呼び、違いを楽しんでいます。新キッチンのある月のほうは、暗く落ち着いてリラックス。太陽のほうはチャキチャキ料理するイメージなんです」
こてらみやさんの収納アイデア
コンロまわり
レンジフードの上には、軽めの木の器やボウルを並べて。ほとんどが、一緒にフードイベントを開催していた木工家・須田二郎さんのもの
付けるか迷っていた、アイアンのバー。「あったほうがいい」の夫の助言で鋳物メーカーにオーダーして取り付け。台所の顔的な存在に。
食器棚
ダイニングには古い中国のキャビネットを置き、和食器を収納している。ここもブックエンド+ウレタンマットのセットで、平皿は立てて収納。
道具棚
手製の道具棚にはストックポットと調味料を置いて。
「以前はストックポットを重ねていましたが、棚にしたらひとつずつ引き出せて便利です」
厨房ツールのストックポットは、丈夫で湿気が入りにくいので、乾物のストックに向いている。ふたを缶のフチに引っかけられる仕掛けも。
回転収納
コーナー用の回転台は見た目以上の収納力。
「重いものでも、奥のものでも、くるっと台を回すだけで簡単に取れてとても重宝しています」
台所収納のひと工夫
見栄えよしのフードカバー
フードカバーにアンティークのピューター皿を合わせて、調味料置きに。
「ほこりよけはもちろん、しょうゆなどが蒸発しなくていいんです」
生ごみ処理はていねいに
生ごみはコンポストで分解しベランダガーデンの堆肥に。
分解できないごみはステンレスのポットに、コンポストに入れる前のごみはシリコンバッグに。
マット+ブックエンド
棚の中の仕切りにブックエンドを多用。
お皿を立てかける場合、下にふかふかのウレタンマットを敷くと、傷つかず安定性もアップ。
<撮影/濱津和貴 取材・文/鈴木麻子>
こてら・みや
フードコーディネーター・料理家。食べ物を中心に、暮らしのことを発信中。旬の食材を使った瓶詰め保存食を楽しむ。『生姜屋さんとつくった まいにち生姜レシピ』(池田書店)など著書多数。著書に『料理がたのしくなる料理』(アノニマ・スタジオ)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです