にんにくの薬膳的効能ついて
強壮作用に優れるにんにくは、疲労回復の特効薬として知られ、栄養ドリンクやサプリメントにもにんにくの薬効成分が使われています。
また、気や血のめぐりをよくし、体、とくにお腹を温める働きがあり、胃の機能を高めたり、冷えによる腹痛や下痢に効果があるとされます。
発汗・抗菌・解毒・鎮静作用もあり、 体の表面に取りついた風邪の邪気(病気を起こす原因)を吹き飛ばすため、悪寒や発熱、頭痛など風邪のひきはじめの症状にも有効です。
漢方では「大蒜(たいさん・だいさん)」という生薬名で、古くから胃もたれや腹痛、下痢、寄生虫症などに使われてきました。
現代医学でも「がんを抑制する食べ物」の筆頭とされ、強い抗酸化作用があり、血栓を予防して血液をサラサラにする働きや血中コレステロール値を低下させて、動脈硬化や心臓病を予防する働きがあることが確認されています。
このように効能の高いにんにくですが、体内に熱を生じるため、胃炎などで胃に熱がある人や口腔に炎症のある人などは、控えめにしましょう。
【保存食】新にんにくの味噌漬けのつくり方
一年中手に入りやすいにんにくですが、フレッシュな新にんにくが出回るのは5〜7月ごろ。
ひとかけでもパンチのある強烈な香りは、大いに食欲をそそりますが、胃の弱い人などには刺激が強すぎることも。
その点、新にんにくは辛味や香りも穏やかでみずみずしく、アクの強い芽(芯)も出ていないため、そのままいただく漬物にぴったりです。
とくに味噌に漬けることで、匂いや辛味はマイルドになり、ほくほくとした甘味が引き立って食べやすくなります。そのままごはんのお供にも、おつまみにもおすすめ。
にんにくの風味の移った味噌も絶品なので、炒めものや煮ものなどにぜひ利用してください。
材料(つくりやすい分量)
● にんにく | 1玉 |
● 味噌 | 30g |
● みりん | 大さじ1 |
つくり方
1 にんにくは薄皮をむき、1片ごとに分けておく。みりんは煮切る(アルコール分を飛ばす)。
2 熱湯でにんにくを1分ほどゆでる。
3 熱湯消毒した保存容器に味噌と1のみりんを入れて混ぜ合わせる。水けをきった2を加えて、ひと晩以上漬け込む。
※常温で2週間、冷蔵庫で1カ月保存可能。
〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉
山田奈美(やまだ・なみ)
「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『いつもの食材と調味料で 体が整うごはん』(ナツメ社)、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)、『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)などがある。
インスタグラム:@nami_yamada.tabegoto
YouTube:「山田奈美の発酵暮らし」