(『天然生活』2020年7月号掲載)
大好きな夏を健やかに。Chieさんの夏支度
夏が大好きで、かつてはサーフィンを嗜んでいたこともあるというだし料理研究家のChieさん。一年で最も愛する季節を健やかに過ごせるよう、夏が近づくとわくわくと支度に取りかかります。
10年以上かけて少しずつ買い足し、眠るときも愛用しているマキマロの服をまずは衣替え。冬に着ていたベルベット素材の巻きスカートなどはしまい、夏もののワンピースやスカートをクローゼットから出してお日さまに当てます。
リネンやオーガニックコットンを野菜や樹皮、木の実などの天然染料で染めたやさしい風合いの服は、洗濯機にかける気持ちになれず、水かお湯だけでさっと手洗いしてお手入れしているそう。
「ふだんの生活だと、汗をかくくらいでそこまで汚れませんよね。洗剤を使わないといけない、という思い込みもあると思うんです」
ここ数年、台湾やフランスなど、海外でだし教室をする機会が増えたというChieさん。海外で和服を着ると喜ばれた経験から、母や祖母のおかげでなじみのある着物文化のよさを見直しています。
「和服のルールを改めて学んだことはないのですが、幼いころからよく着ていたので、体が覚えている感覚を頼りに楽しんでいます」
なるべく着る機会を増やそうと、夏着物や浴衣の虫干しをするのも初夏の欠かせない支度に。着付けの手間を省くため、自分で簡易帯をつくるなどの工夫も。
Chieさんの夏支度
愛用するマキマロの服や冬物のラグを天日干し

ザクロの皮や栗の木といった、自然のもので染められるマキマロの服は、並んで風に揺れる様子もやさしい
衣替えの時季に長年愛用するマキマロの服と、冬の間リビングなどに敷いていたキリムやラグを、お日さまの下でからりと天日干し。
天然素材、天然染料にこだわるマキマロのブラウスやワンピースは、とにかく肌に心地よいのだそう。
「少し贅沢ですが、寝るときもパジャマ代わりに着ています。なかには、マキマロさんに相談して、元の染料を抜き、ホワイトにしてもらったものも」
Chieさんの夏支度
桐たんすから夏着物や浴衣を出して虫干し

浴衣にはアイロンをかけ、ほころびや汚れなど状態のチェックも忘れずに
だし教室などで和服を着る機会が増えたこともあり、夏着物や浴衣の虫干しは春先から初夏にかけての恒例行事。直射日光は退色の原因になるため、室内の風通しのよい場所を選び、桐たんすから出してラックにかけておきます。
母や祖母が思いを込めて用意してくれたものや、知人から思いがけず譲られたものなど1枚1枚に思い出やエピソードがあり、虫干しすることで気持ちも和みます。

朝顔柄や絽素材など、目にも涼やかなものがたくさん。洋服も着物も、紫色にひかれることが多いそう
Chieさんの夏支度
玄関とリビングのしつらえを夏仕様に

のれん代わりにイカットというアジアの絣布を。深いブルーが、目にも涼やか
冬のあいだ、ラタンのソファに敷いていた羊毛のキリムはベランダで干してから片づけ、アフリカ製のラグにチェンジしてエスニックな空気感を。
玄関に吊り下げたのれん代わりの布も、少し分厚い暖色系のものから、イカットというアジアの絣織物に衣替え。
玄関から入る風が、日本の藍染めに似たブルーを揺らします。昔ながらの長屋を改装した住まいに、いろいろな国の手仕事が心地よく調和。
〈撮影/辻本しんこ 取材・文/野崎 泉、鈴木理恵(TRYOUT)〉
Chie(ちえ)
だし料理研究家。大阪が誇るだし文化の奥深さを伝える活動を行う。出張料理やだし教室、台湾やフランスなど海外でのワークショップも。
webサイト:@http://chieandhiro.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです