(『天然生活』2020年7月号掲載)
だし料理と保存食が夏の元気を支えてくれる
夏野菜をだしのうま味とともにたっぷりいただくことも元気の源。肉料理をさほど食べないので、野菜のみでも満足感のある揚げびたしはよくつくるお総菜だそう。
「昆布と煮干しのみのだしはどうしても和風になりますが、最後にかつお節を足すことで、不思議とどんな料理にも合わせやすくなるんです。最近はこの3種類を使うだしが気に入っています」
また、トマトソースやなすのオイル漬けといった、夏野菜をふんだんに使う保存食づくりもこの時季ならでは楽しみ。夏になるたびに、イタリアでワイン農家を営む友人の手伝いに訪れていたとき、現地のマンマから教わった本場仕込みの味です。
イタリアは素材のよさをシンプルに生かす料理が多く、北海道産の天然真昆布などを使うChieさんのだし料理とも重なる部分があるのだそう。
日本の伝統文化を手軽に楽しみつつ、海外のよいものも柔軟に取り入れて。Chieさんの夏支度には、おいしさと心地よさをつくるヒントがいっぱいでした。
Chieさんの夏支度
夏野菜を使って保存食づくり
トマトソースのトマトは皮と実の間に栄養があるため、皮つきのままカット。最後にこすので、口あたりよく仕上がります。
なすのオイル漬けは、なすを一晩塩漬けにして水けをしぼり、水と酢(1:1)でさっとゆで、ざるで干します。半生程度まで水けが飛んだら、びんになすと刻んだニンニクとイタリアンパセリを交互に重ね、最後にオリーブオイルをひたひたに注いでつくるそう。
Chieさんの夏支度
酵素玄米と葛粉で体を温める
食欲のない日は、10年以上続けている酵素玄米を煮てお粥に。小豆とお塩を入れて炊いた玄米を、4日以上、電子保温ジャーで寝かせる酵素玄米は、発酵食ならではの健康効果がいっぱい。
仕上げに体を温める本葛粉を加えることで、冷房で冷えやすい夏場も元気に過ごせます。
お供は大阪・空堀にある「こんぶ土居」の細切り塩昆布が定番。自分で金継ぎしたお茶碗によそっていただきます。
〈撮影/辻本しんこ 取材・文/野崎 泉、鈴木理恵(TRYOUT)〉
Chie(ちえ)
だし料理研究家。大阪が誇るだし文化の奥深さを伝える活動を行う。出張料理やだし教室、台湾やフランスなど海外でのワークショップも。
webサイト:@http://chieandhiro.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです