(『天然生活』2023年10月号掲載)
深部体温を上げるストレッチ
深部体温とは、体温計では測れない体の内部の温度のこと。日中は高い体温を保って体の活動モードを維持し、夜にかけて下がりはじめて休息モードに向かいます。ところが不眠の人は、深部体温が変動しにくいことが多いそう。
「人の体は深部体温が下がると眠くなるようにできています。温度の高低差があるほど深い眠りが得られるので、まずは入浴とストレッチで体温を上げていきましょう」
ストレッチでは、こりやすく、血流が悪くなりがちな首と肩まわりをほぐします。筋肉への刺激や血流の改善により深部体温の上昇が見込めるといいます。入浴後はできるだけ寝る準備の時間にあて、ストレッチを通しで行うと効果的です。
湯舟で首ほぐし
頭の重さを支える首の後ろの頸椎とその周辺の筋肉は、姿勢の悪さなども重なって常にこっている状態。
入浴しながら首をほぐすことで血流が改善され、深部体温が上がりやすくなります。首の筋肉はデリケートなため、力を入れすぎないように注意しましょう。
組んだ手の親指で首のくぼみを軽くつまみ、手を上下にゆっくり動かす。
両ひじ回し
両ひじで円を描くように腕を回すことで、肩甲骨周辺にある熱を生み出す「褐色脂肪細胞」を刺激。深部体温の上昇につながります。
こり固まった肩甲骨まわりがほぐれ、肩こり解消にも効果的。肩甲骨を動かすイメージで、大きく腕を回すのがポイントです。
腕を左右に上げて両ひじを曲げる。この状態で、前から後ろへ大きく5回回す。
全力両腕伸ばし
このストレッチも背面の褐色脂肪細胞を刺激して活性化。肩まわりや腕、体側を伸ばし、血流が滞りがちな上半身をほぐします。
腕を伸ばすタイミングで息をゆっくり吐くと、より筋肉がゆるみやすくなります。ストレッチのあとは、体が温まるのを感じるはず。
① 両手を組み、手のひら側を前に思い切り突き出して3秒間キープする。
② そのまま両手を上に突き上げ、左右に軽く揺らす。①~②を5回繰り返す。
<監修/白濱龍太郎 取材・文/熊坂麻美 イラスト/イオクサツキ>
白濱龍太郎(しらはま・りゅうたろう)
2013年に「RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」を設立し、約2万人の睡眠の悩みに向き合ってきた。企業での講演活動のほか、東京オリンピックでは選手のサポートも担当。テレビや雑誌などのメディアにも数多く出演し、睡眠の大切さを伝えている。著書に『ぐっすり眠る習慣』(アスコム)などがある。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです