タフな実用品であり繊細なアートでもあり
「かごにはいろいろな表情がある」。そう思わせてくれる多彩なかご使いの住まいです。インテリアのプロだからこそ出合えるかごのバリエーションは幅広く、それを自由自在に活用するアイデアもさすが。
「素朴でおおらかなものもあれば、繊細で緊張感のあるものも。素材やつくりで佇まいがガラッと変わるのがかごの魅力ですね。頑丈なかごはものを入れたり運んだり実用品として。一方、細工が美しいかごは、ただ飾って眺めるだけという楽しみ方もしています」
「細やかな手仕事のかごはアート」と断言する洲脇さん。ものとしての存在感が強く、部屋全体の引き締めにもなるといいます。
「インテリアはバランスが大事だと思っています。天然素材のかごはナチュラルな雰囲気が漂いがちなので、黒いアイテムや、クリアなガラスなどと組み合わせて、メリハリをつけるようにしています」
1年前の引っ越しで、生活は少しコンパクトに。愛用のかごの多くも手放したといいます。
「サイズが大きいものが残りました。小さいものをいくつも並べるより、大きなかごをドンと置くほうが、空間がすっきりしますよ」
インテリアスタイリスト・洲脇佑美さんの「かご使い」
キッチン
柔らかく通気性のよいかごはキッチン向きです
光がたっぷり入るキッチンはお気に入りの場所。窓際の棚には竹製の水切りかごを置いて、木の器の乾かし場所に。
カウンターのかごはスンバラ豆バスケットというアフリカ製のもので、現地では発酵食品をつくるときに使われているのだそう。足元の筒状のかごは、ごみ箱として活用している。
食卓
盆ざるをトレイにして、夏のお茶セットを
この夏に迎え入れた新顔の盆ざるは荒物屋「松野屋」で購入。細やかな編み目が美しく、繊細な印象。
「ワンプレートに飲み物とお菓子をセットにしてサーブするのが好きなんです。いつもは木のトレイや陶器ですが、竹のざるにしたら涼しげで夏らしいですね。ガラスの器とも相性抜群でした」
キッチン
コレクションのトレイやボードの定位置に
『テイスト メーカーズ アンド コー』で購入した浅型かご。たくさんあるトレイやカッティングボードに横幅がぴったり。定位置はキッチンクロスで目隠ししたトースターの上。
「かごは、布との組み合わせもいいですね」
ハンドルが付いているので、トースターを使うときはさっと移動できる。
<撮影/星 亘 取材・文/鈴木麻子>
洲脇佑美(すわき・ゆみ)
インテリアショップの店長を経て、インテリアスタイリストに。雑誌・カタログ・広告等を手掛ける。大人の上質な空間、美しく豊かな食卓を提案している。http://www.suwakiyumi.com/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです