庭に自生する竹が、美しいかごへと生まれ変わって
「せっかく竹が生えているから、これで何かできないかな?」
丘の上に建つ浅川あやさん宅の敷地には立派な竹林があります。風に揺れる青竹は、目で見て心地よく、家族のいやしとなっています。けれど、それだけにとどまらず。かごに生まれ変わり、かご好きの浅川さんの自慢のコレクションのひとつになったのです。
仕立ててくれたのは、懇意にする竹細工作家の本多典子さん。竹取りから、竹ヒゴづくり、編むところまでひとりで行っている作家さんです。
「庭に自生する竹の中に、かごづくりによい真竹もあったのでお願いしてみたのです。3年目くらいの節の長い竹が適しているみたいで、それを切りにきてもらいました。年に一度くらいの頻度で続けていけたらいいですね」
あの竹がこのかごに。「つくり手の顔が見えること」を、もの選びの指針にしている浅川さんにとって、これ以上ないつながりです。
「Made in わが家」の竹かごは、まだ青々と若い。それを使い込み、あめ色に育てていくことを楽しみたい。かごの楽しみは育てる楽しみ。そう断言する浅川さんです。
「日用美」店主・浅川あやさんのかご使い
リビング
自邸の竹林から採取した竹で編んでもらった丈夫なかご
本を入れたかごは、神奈川・伊勢原在住の竹かご作家・本多典子さん作。材料は家の庭に生える真竹。
「『重たいものが入れられる頼りがいのあるかごを』とオーダーしました」
テーブル上の豆腐かごは、岩手の橋本晶子さん作。「ひと目見てお茶道具を入れたいと思いました」
キッチン
竹とレザーの組み合わせがモダンで新鮮です
美しい愛用品がオープンに並ぶキッチンで、ひときわ目をひくのが本多典子さん作のかご。
神奈川・二宮在住の皮革作家Takuyama&Co.の佐藤拓さんにレザーハンドルをつくってもらった。竹のドリッパーも橋本さん作。
「これで淹れたコーヒーは雑味がなく、味がとてもまろやかで感動します」
キッチン
壁に引っ掛けたざるは、白壁キッチンのいいアクセントに
壁に画びょうを刺し、ざるを引っ掛けて、収納と乾燥を兼ねている。
楕円ざるは岩手の竹細工と生活雑貨の店「ござ九・森九商店」のもの。花模様のざるは古道具店で見つけた。
「店の片隅で安く売られているような日用品を見過ごせない性質なんです。果物やお菓子を盛るのにぴったりです」
<撮影/砂原 文 取材・文/鈴木麻子>
浅川あや(あさかわ・あや)
日用品の店「日用美」を神奈川・二宮で営む。洋館を改装した店内には、作家ものの器や、衣類、アクセサリーなどが並ぶ。店の営業は日、月、火曜の週3日。インスタグラム@nichiyobi_asakawa
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです