• 東京・松陰神社前にあったカフェ「カフェロッタ」は、2021年9月、20年の歴史に幕を閉じました。店主の桜井かおりさんは、どんなときでも“楽しみ”を見つけるのが得意です。さて、今日はどんな“楽しみ”が見つかるでしょうか。今回は「atelier Lotta(アトリエロッタ)」と東京、二拠点生活の楽しみと課題について。

    大好きだった、金沢の「アトリエ ロッタ」

    「atelier Lotta」の鍵を大家さんへお返しいたしました。

    2022年3月に正式に契約をして始まった私の東京と金沢の二拠点生活

    二拠点生活を始めたきっかけ、その時の私の気持ちは以前(2022.06.11の記事「金沢にアトリエを持ちました」)に書きましたが、簡単に言うと『私の新しい居場所』、ワクワクすることが必要だったのです。

    画像: atelier Lottaの壁の一部にはウィリアムモリスのDairy(デイジー)を職人さんに貼っていただきました。これでグッと私らしい部屋に

    atelier Lottaの壁の一部にはウィリアムモリスのDairy(デイジー)を職人さんに貼っていただきました。これでグッと私らしい部屋に

    画像: 黄色の扉のザ・昭和の台所をステンレスに総とっかえ。大家さんは流し下の収納がなくて大丈夫かと心配したけど見せる収納にしたかったから不要!

    黄色の扉のザ・昭和の台所をステンレスに総とっかえ。大家さんは流し下の収納がなくて大丈夫かと心配したけど見せる収納にしたかったから不要!

    新しく家具を揃えて『好きなものしかここには置かない』を徹底して、3時間ちょっとかけて東京からアトリエに来るたび「この部屋大好き!」と、これからここで過ごす数日間を思いワクワクしました。

    画像: やっとテーブルが届いた日。アトリエのためにブラックの脚のテーブルを探したの!

    やっとテーブルが届いた日。アトリエのためにブラックの脚のテーブルを探したの!

    画像: 好きなものしか置かないを徹底

    好きなものしか置かないを徹底

    入居当初は、ご飯はどこに行ったらいいのかな? ゴミ捨てのルールは? という感じでしたが、ご近所のお花屋さん、おでん屋さん、パン屋さん、夜の時間を過ごすお店など、足を運ぶたび顔なじみとなり、友人もでき、家族も増え、最近では毎回手土産持参で故郷に帰って来るような気持ちでした。

    ご近所さんには本当によくしていただきました。そしておいしいものだらけの金沢、来るたびに1〜2キロ太った……。

    実は1年くらいで、手放すことを考えました

    いま、正直に話すとね。

    二拠点生活を始めて1年が経った頃だったかな、『二拠点生活を続けるのは難しいかも』と手放すことを考え、家族、友人に相談しました。

    その時の理由は家賃などの維持費、お金です。

    東京での仕事が忙しくて金沢に行けなかった月でも家賃は支払う(当たり前です。笑)。金沢に行けた月は家賃+新幹線代+飲食代(これがなかなかの金額になる。苦笑)。*あ、ちゃんと言っておきますが遊んでばかりではなかったのよ! 3冊目の本はほぼ金沢のアトリエで書きました。他の書き仕事も。

    すると相談した友人も、家族もアトリエを手放すことは大反対。夫からはせめて更新まで(2年間)は頑張れば? と。

    悩んだけれど今思うと本当にここで諦めなくてよかったです。きっと私はいろんな自信を失っていたでしょう。

    持続を決心してからの約1年半が本当に楽しくて充実して、ますます金沢、特にアトリエのあった石引という街が好きになっていったの。

    画像: 小さな食器棚は益子の「pejite(ペジテ)」さんのもの。扉の中はアンティークと「アスティエ・ド・ヴィラット」と金沢で買い集めた辻和美さんのガラスが大半

    小さな食器棚は益子の「pejite(ペジテ)」さんのもの。扉の中はアンティークと「アスティエ・ド・ヴィラット」と金沢で買い集めた辻和美さんのガラスが大半

    どうやって『楽しい』を増やしていったのか?

    それは、私も出展者も、そして一番肝心な北陸の方々もいっしょに楽しめるようイベントをたくさん開催したのです。

    イベントを自ら企画するなんてほぼ未経験だったからどうなることやらでしたが、結果、毎回楽しみに足を運んでくださる方も多く、出展者である友人たちも、もちろん私も楽しい時間を共有できました。

    不手際もたくさんあったと思うけど大切なのは『何事もどうせやるなら楽しもう』です。

    そのきっかけになったのが年初に起きた令和6年能登半島地震の直後に息子から届いたLINE

    金沢から人がいなくなって街に元気がなくなっている、ママみんなが少しでも元気になる何かできない? と。

    よしっ! と友人たちに声をかけ素敵なイベントを毎月詰め込みました。わたしにできることはみんなを笑顔にすること

    では、こんなに好きだったアトリエをなぜ手放すことにしたの?
    は、つ・づ・く。



    画像: 実は1年くらいで、手放すことを考えました

    桜井かおり(さくらい・かおり)

    文筆家。大手損害保険会社のOLを経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が足を運び、お客様から相談やお手紙をもらうことも多かったそう。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物老朽化のため、惜しまれつつ閉店。現在は、文筆業や、買い付けなどを行う。『カフェロッタのことと、わたしのこと』『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』(ともに旭屋出版)に続く3冊目の著書『マダム・ロッタとパリ行かない?』(旭屋出版)が好評発売中。

    インスタグラム:@kaorilotta

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    『マダム・ロッタとパリ行かない?』(桜井かおり・著/旭屋出版)|amazon.co.jp

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