(『天然生活』2021年9月号掲載)
嫁と姑。お互いの第一印象は?
真佑さんに初めて会ったときのウーさんの印象は、「明るい子」。
「いまもそうだけれど、いつも笑ってるの。息子と一緒にいるところを安心して見ていられるんです」
一方、真佑さんにとって、ウーさんの第一印象はどんなものだったのでしょう。
「初めて一緒にお食事したときは緊張しました。でも、先生はすごくテンポよく会話してくださって。お話が面白いなあと思いました」
結婚を機にウーさんのもとで働くことになった真佑さん
真佑さんが姑であるウーさんのことを「先生」と呼ぶのには理由があります。実は真佑さんはウーさんの事務所で働くスタッフでもあるのです。
舜也さんと結婚した際、真佑さんはそれまで勤めていた会社を退職し、ウーさんのもとで働きたいと申し出ました。
「前から食べることはもちろん、料理も大好き。貴重な世界が身近にできたので、いいチャンスだと思ったんです。
友達にお姑さんの事務所で働くといったら驚かれたけれど、先生がどんな人かは自分なりにわかっていたつもりだったので、不安は感じませんでした」
初めて真佑さんの意思を聞いたときは、さすがのウーさんも驚いたといいます。
「うれしかったけれど『すぐに働いてもらうのは難しいから、少し待って』といいました。
家族が自分の事務所で働くというのは、ほかのスタッフにとってはデリケートなこと。1カ月ほどかけてスタッフとの話し合いなどをして、それから入ってもらいました。
その際、真佑にはこういったんです。『家族としてスタッフに加わるというのは、人の3倍努力して、やっと人並みに扱われるということ。それを覚悟しておきなさいね』って」
こうして、奇しくもウーさんの誕生日である11月4日から働き始めた真佑さん。いまでは「すんなり溶け込んでるわよ」と、ウーさんが安心した様子で話します。
「朝は早く来るし、ほかのスタッフに頭を下げて『教えてください』というし、フットワークも軽い。みんなにかわいがられてますよ」
真佑さんは、ほぼ毎日ウーさんと一緒に過ごすようになって初めて、その多忙さを目の当たりにするようになりました。
「たぶん、いまは(夫の)舜也くんより私のほうが先生の大変さを理解していると思います。ほかのスタッフの人たちと一緒に、できるだけ支えていきたいですね」
〈撮影/鈴木正美 取材・文/嶌 陽子〉
ウー・ウェン(うー・うぇん)
中国・北京で生まれ育つ。1990年に来日。母から受け継いだ家庭料理が評判となり料理研究家に。著書に『体と向き合う家ごはん』(扶桑社)、『料理の意味とその手立て』(タブレ)など。
インスタグラム:
@wuwen_cookingsalon
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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