(『天然生活』2021年9月号掲載)
料理の細かなことは教えない。そばで見て覚えてもらいます
仕事の現場などでウーさんの料理する姿をじっと見る。それがいま、真佑さんにとって一番の勉強になっているようです。
「先生の仕事は早いしむだがない。お料理もシンプルなのに毎回おいしい。私もいつかあんなふうになりたいです」
ウーさんは、ふだん、真佑さんにはこまごまとしたことをあまりいいません。
「仕事の現場では、細かく教えているひまがないですしね。でも大事なことは伝えますよ。
たとえば『動作をもっとていねいにしなさい』とか『作業をするときは物音をあまり立てないほうがいい』とかね。音がうるさいと、どうしても雑に見えてしまうんですよ」
でもね、とウーさんが柔らかな表情で続けました。
「まだまだできないことはたくさんあるけれど、真佑は『いまはできないけれど、20年後にはできるようになります!』と宣言してくれるんです。その心意気がうれしいじゃない?」
料理、仕事、SNS……。お互いから学び合う日々
そうやって日々、仕事の現場でさまざまなことを吸収している真佑さん。
たまにどうしてもマスターしたい料理があるときは、週末にウーさんの家を訪れて、教えてもらうこともあるそうです。
「息子と一緒に材料だけ買ってうちに来るのよ。この前は水餃子をつくったよね」
一方、ウーさんも真佑さんから学ぶことが多いといいます。
「最近インスタグラムを始めたんだけど、彼女が編集したりアップしたりしてくれるの。作業がすごく早いんですよ。新しいことをいろいろ教えてもらってますね」
〈撮影/鈴木正美 取材・文/嶌 陽子〉
ウー・ウェン(うー・うぇん)
中国・北京で生まれ育つ。1990年に来日。母から受け継いだ家庭料理が評判となり料理研究家に。著書に『体と向き合う家ごはん』(扶桑社)、『料理の意味とその手立て』(タブレ)など。
インスタグラム:
@wuwen_cookingsalon
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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