(『天然生活』2021年9月号掲載)
誠意をもってつきあう。毎日がその積み重ね
来日して31年。ウーさんは、それまで知られていなかった中国の家庭料理を日本に紹介してきました。
先駆者としてときに孤軍奮闘する日々のなか、新しくできた家族。まだ25歳のその女性は、自ら希望して義理の母のもとで働き、ほぼ毎日一緒に過ごしています。
「縁あって家族になった人とは、できるだけよい関係をつくり、理解し合っていきたい。だから真佑と一緒に仕事ができること、彼女も私たち家族のことを理解しようとしてくれるのがうれしいんです」
いまのこの関係は、将来変わるかもしれない。それをかたくなに拒む気はありません。できるのは、いまを大事にして、毎日、誠意をもって相手と向き合うことだけです。
「結局はその積み重ねしかないですよね。だからね、息子が結婚したときから私の姑修業は始まってるんですよ」
お互いをひとりの人間として尊敬し、愛情をもってつきあう。相手を深く理解しようと努める。
ウーさんが覚悟を決めて始めた「修業」は、これまで大切にしてきた家族の結びつきをさらに深めていくに違いありません。
〈撮影/鈴木正美 取材・文/嶌 陽子〉
ウー・ウェン(うー・うぇん)
中国・北京で生まれ育つ。1990年に来日。母から受け継いだ家庭料理が評判となり料理研究家に。著書に『体と向き合う家ごはん』(扶桑社)、『料理の意味とその手立て』(タブレ)など。
インスタグラム:
@wuwen_cookingsalon
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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