(『天然生活』2023年7月号掲載)
「生活の質を落として節約」より「お金の流れをすっきりさせる」が効果的
昨年から続く物価高は家計を直撃。お金の先行きへの不安も高まっています。
ファイナンシャルプランナーの西山美紀さんは、「出費がかさむことで“節約”へのプレッシャーが高まっています。楽しみながら節約できる人はいいのですが、節約が苦手な人もいるはずです。そういう人は、一度、家計全体のお金の流れを見直して、自動的に節約してお金がたまるような仕組みをつくりましょう」と語ります。
節約というと、日々の買い物を少しでも安くすることをイメージしがちですが、大事なのは「入ってくるお金」と「出ていくお金」の流れを整えること。銀行口座を目的別に使い分けてネット銀行などを上手に利用しながら、固定費でむだな出費を抑えます。
「贅沢にむだ使いをしている人は少数派。ほとんどの人が節約できる余地には限界があります。だからこそ、生活の質を落として節約するのではなく、お金の流れをすっきりさせるほうが効果的です。
また、日々の細かい節約にストレスを感じなくてすむので気持ちもラクになります。むやみに節約するより、毎月、貯蓄額が増えているなら、わが家のお金の流れは基本的にOKと思って暮らしを楽しむことも大切にしてください」
入ってくるお金
●給与 ●事業収入 ●副業収入 ●年金
出ていくお金
●固定費:家賃・住宅ローン、水道光熱費、保険料、車関連費、通信費(インターネット・スマートフォン)、教育費など
●変動費:食費、日用品代、交際費、雑費、趣味・娯楽費
ためるお金
●老後資金 ●教育資金 ●旅行・レジャー費 ●予備費など
まずは家計の流れを確認する
お金のたまる仕組みづくりの第一歩は、わが家の家計の流れを把握することから始まります。
「とくに支出では、何にいくら使っているかわからない人も多いので、まずはざっくりと仕分けを。毎日家計簿をつけなくてもいいので、とりあえず1カ月分のレシートやカードの明細を集めて、おおまかに見直してみましょう。細かく品目を分けると面倒なので、食費と日用品をまとめるなどやりやすい方法でOKです」
頻繁にコンビニを利用していないか、同じようなものばかり買っていないかなど、自分のお金の使い方の癖を知ることで、改善すべきポイントもはっきり見えてきます。
〈監修/西山美紀 イラスト/ホリベクミコ 構成・文/工藤千秋〉
西山美紀(にしやま・みき)
ファイナンシャルプランナー。出版社で編集・マーケティングを経験後、2005年にライターとして独立し、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。単に貯蓄額を増やすのではなく、日常に潤いをもたらすような、わかりやすいお金のため方・使い方を提案し、各メディアで活躍する。著書に『お金の増やし方』(主婦の友社)などがある。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです