(『天然生活』2022年11月号掲載)
目の前にあるもののなかに、美しさを感じて
「経験を重ねるごとに、心に響く言葉も変化してきました」。そう語るのは、淡路島を拠点に活動する料理家・どいちなつさんです。
「継続は力なり」(10代)、「意志のあるところに路がある」(20代)、「あせらず、あわてず、あきらめず」(30代)、「あたりまえのことに感謝を ちいさななかにも喜びを見つけ おいしくいただけることにありがとうを」(40代)と、ライフスタイルの変化に合わせるように、そのときどきで、幸せのかたちを表す言葉がありました。
「10代、20代は、何か打ち込めるものを見つけたかったんでしょうね。30代、40代は、やるしかないと目一杯がんばり、50代に入って肩の力が抜け、幸せはもうすでにここにあるし、ゆっくりとでも自分のペースで毎日を過ごせることに喜びを感じています」
とくに好きなのは「心に風」の一節で、屋号にするほど。心も風も目に見えないけれど、感じることで世界が豊かになるといいます。
「朝露が降りた畑のハーブや風の音、鳥の歌。目の前にある美しさを感じながら、いつもこの豊かさに気がついていたいと思います」
これで十分
足 に 土
手 に 斧
目 に 花
耳 に 鳥
鼻 に 茸
口にほほえみ
胸 に 歌
肌 に 汗
心 に 風〈『ココペリの足あと』「これで十分」ななおさかき著(思潮社)より〉
©地球Bななおトラスト
〈文/長谷川未緒〉
どいちなつ(どい・ちなつ)
料理家。野菜やハーブを栽培する暮らしぶりや、「心に風キッチン」で開かれる料理教室などが評判。
インスタグラム:@windformind
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです