(『天然生活』2022年10月号掲載)
アウトドアを通じて“生きる術”を身につける
東日本大震災の翌年から、アウトドアの道具や知識を防災に生かすワークショップを続けている寒川一さん。
ものを備えるだけの防災から「生きるための技術や知識を備える防災」へシフトすることの重要性を提唱しています。
「昔から、防災は日常の延長線上になければ意味がないということをいい続けてきました。とくに、防災のために備えたものは日常で使う機会がなく、いざというときに活用できないということもしばしば。ここ数年のキャンプブームで、アウトドアを嗜む人が格段に増えたいまこそ、キャンプ用品をできる限り防災グッズに置き換えて日常に落とし込むことが、一番の備えになるでしょう」
災害時に役立つアウトドア用品リスト
ライフラインのない場所で衣・食・住を組み立てる防災に役立つグッズを厳選して紹介します。
衣服 編
インナーレイヤー(肌着)
ウール素材で、体にぴったり合うサイズを選ぶと体の熱を逃しにくい。ウールのタイツを併用すると、体全体が暖かい空気層で覆われて保温力が上がる。
ミッドレイヤー(中間着)
ジップタイプの長袖だと脱ぎ着しやすく、温度調節しやすい。ミッドレイヤーの保温性を上げると防寒性が高まるので、薄手のダウンベストを重ねるのも効果的。
アウターレイヤー(シェル)
防水・防風性がある素材で、重ね着を想定してジャストサイズより少し大きめを選ぶのがポイント。フードやポケットがあると頭部や手先の防寒性も上がる。
〈監修/寒川 一 撮影/小禄慎一郎、山川修一 取材・文/田辺千菊(Choki!) イラスト/カトウミナエ〉
寒川 一(さんがわ・はじめ)
1963年生まれ。アウトドアライフアドバイザー、UPI OUTDOORアドバイザー。三浦半島の海辺で行う「焚火カフェ」主宰。アウトドアでのガイド・指導をはじめ、災害時に役立つキャンプ道具の使い方やスキルを教える活動も積極的に行う。著書に『「サボる」防災で、いきる』(主婦の友社)。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです