(『天然生活』2022年10月号掲載)
ごはんのおいしさは、土地と水を表現したもの
各地に信頼できるお米農家の方がいて、そこから届くお米を楽しみに味わっているという野村さん。
彼らの真摯な思いは味にも表れ、そして食べ比べているうちに「お米はその土地と水を表現しているもの」と強く確信するようになりました。
「農家さんを訪ね、その土地の水でお米を炊くと、本当にごはんがおいしい。ひと口食べれば、その土地の風景が思い浮かぶ……そういう食べ方は何よりの贅沢ですよね。ときにはそのお米と同じ土地のミネラルウォーターで炊くのも面白い。古米につやを加えるためにお酒を加えることがありますが、その地元の日本酒を加えてみるのも楽しいと思います」
鍋でおいしく炊くちょっとしたコツ
1 ざるにお米を入れて水道の水を流しながら、お米を傷つけないよう注意しつつ手の腹を使ってとぐ。とぎ汁が白くにごらず、透明になったらOK。
2 ざるごとボウルに入れ、30分から1時間ほど浸水を。こうすることでお米に熱が入りやすくなり、適度な粘り気が出て、ふっくら炊き上がる。
3 火を止めたあとは、ふたをしたまま10~15分ほどしっかり蒸らす。鍋内にある蒸気の水分がお米ひと粒ひと粒に吸収され、張りとつやのあるごはんに。
炊きたてごはんの楽しみ方 その1
一番のごちそう、煮えばなを味わう
茶懐石でも供されることがある、火を止めた直後で蒸らす前の「煮えばな」ごはん。お米に少しかたさが残り、ねばりが出る前のみずみずしい味わい。ふだんとは違ったおいしさが。
炊きたてごはんの楽しみ方 その2
ふた付き茶碗で、香りを楽しむ
蒸らし終わったあとはお茶碗へ。ふだんなかなか意識が向きませんが、ごはんの「香り」も味わいどころのひとつ。ふた付きの茶碗によそえば、ふたを開けた瞬間、香りの高さに驚くはず。
野村さん愛用のお米
右から石川「SKURO」のひゃくまん穀、栃木「大島農園」のササニシキ、千葉「鴨川自然王国」の天水棚田米、鳥取「丸瀬家」の鳥取旭の玄米。
「信頼できるつくり手は皆さん個性が強く、自分自身の世界観をもっている方ばかりです」
〈撮影/今津聡子 取材・文/田中のり子〉
野村友里(のむら・ゆり)
長年おもてなし教室を開いていた母の影響で料理の道へ。ケータリングやイベント、ラジオ、出版など幅広く活躍。2012年原宿に「restaurant eatrip」を、19年表参道に「eatrip soil」をオープン。EATRIP JOURNAL
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです