• 味覚はときに切ないほど、懐かしい記憶を呼び覚まします。口にすればいまでも、幼い日に戻れるような気がするのです。今回は、料理研究家のきじまりゅうたさんに、祖母の村上昭子さんと一緒に麺を巻いた「そう麺」のつくり方を教わりました。
    (『天然生活』2023年9月号掲載)

    きじま家流の気配りに満ちた、そう麺。

    「祖母は台所に立ったら、まずはだしをとるところから始める人でしたので、麺つゆもその際につくっていました。夏のお昼といえば毎日のようにそう麺でしたね」

    ゆでたそう麺は、しっかりぬめりを取り、よく冷やして指で丸めてざるに盛りつけ。こうすると時間がたっても伸びず、箸でとりやすく、つゆにひたしたときにはほぐれ、つゆも薄まらないそう。

    「当時、庭にはみょうがや青じそ、山椒、ゆずの木などがあり、薬味をつむのは僕の仕事でした」

    冷えたスイカとともに味わった夏の思い出は、鮮明に甦ります。

    「そう麺」のつくり方

    画像: 「そう麺」のつくり方

    時間がたっても伸びない、工夫がいっぱいのうちの味です。

    祖母と一緒に巻いた思い出の「そう麺」のつくり方

    忙しいスタッフが、時間差で食べてもおいしくと、おばあさまが工夫して出すようになったというそう麺。麺をよく締めて冷やし、1人分ずつ巻いてざるに盛りつけ、取りやすく。季節の野菜に塩(野菜の重さの1.5〜2%)をもみ込むだけの塩もみ野菜も定番だったそう。

    材料とつくり方(3~4人分)

     みょうが3個は縦半分に切ってからごく斜め薄切りに、長ねぎ1本は小口に切る。ともに水にさらして水けをきる。

     深めの鍋にたっぷりの湯を沸かし、袋の表示通りにそう麺300gをゆでる。

     をざるなどに盛り、薬味と麺つゆ(*)適量でいただく。

    *麺つゆの材料とつくり方(つくりやすい分量)

    鍋にみりん1/2カップを火にかけ、煮切る。

    しょうゆ1/2カップ、だし汁2カップを加えて煮立て、火を止めてそのまま冷ます。

    ▼きじまりゅうたさん直伝、きじま家に伝わるおいしいそう麺のゆで方と盛りつけ方

    「玉子焼き」のつくり方

    油にバターを合わせ、オムレツと玉子焼きの中間のような味わい。小ぶりなフライパンに卵液を一気に流し込んで焼く、甘辛味です。

    材料とつくり方(つくりやすい分量・直径20cmのフライパンを使用)

     ボウルに卵3個を割り入れて菜箸で溶きほぐし、砂糖大さじ1と1/2としょうゆ大さじ1/2を加え混ぜる。

     フライパンにサラダ油大さじ1/2を入れて温め、十分熱くなったらバター5gを入れて溶かし、を一気に注ぎ入れる。

     大きくかき混ぜ、全体が半熟状になったら、ゴムベラなどで奥に寄せる。

     手前に裏返して形を整える。裏表を返しながら全体がきつね色になるまでじっくり焼き、切って器に盛りつける。



    <料理/きじまりゅうた 撮影/山川修一 取材・文/田佳代>

    画像: 材料とつくり方(つくりやすい分量・直径20cmのフライパンを使用)

    きじま・りゅうた
    3代続く料理研究家の家庭に育つ。基本を踏まえたつくりやすい料理にファンが多い。雑誌やテレビ、ラジオなどのほかYouTuberとしても活躍。公式YouTubeチャンネル『きじまごはん』では、いつもの料理が楽しくなる動画や、ちょっとしたコツをていねいに紹介している。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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