(『天然生活』2020年8月号掲載)
悩みすぎずに、シンプルにいつも明るく、前向きに
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
弓さんと夫のジャン・クロードさんが暮らすアパルトマンは、明るい陽光とアンティークの家具が心地よい空間。
持ち物は好きなもの、使うものだけに厳選しています。
「私たちにはもう、たくさんのものは必要ない。愛情をかけて、管理できる数だけを」
シンプルで明快な基準です。
対人関係においても、弓さんの考え方はしなやかです。聞けば、「サバ? (あ)・ウイ、サバ! (うん)」の呼吸のクロードさんとも、なにやら歴史がある模様......。
「実は私たち、若いころ別居していた時期もあるんですよ」と、茶目っ気たっぷりに微笑む弓さん。
クロードさんが腎臓を患い、弓さんの仕事が多忙を極めていたころのこと。親しい友人でも、家族でも、互いの体調や生活環境で、その関係は微妙に変化することがあります。
そんなときは「無理せず、流れに任せて、待ちの姿勢」です。
焦ってネガティブにならなければ、やがて状況は変化し、なにがしか、解決の糸口が見えてくるといいます。
「いまは、夫婦そろって元気で、それぞれの趣味の時間も、ふたりでの旅やドライブの時間も楽しめるのが感謝ばかりです」
歳月が紡ぎ出す人生哲学は、たおやかでやさしさに満ちています。
日々の暮らしを豊かにする秘訣
“面倒だ”はまず捨てる
取りかかってみると、意外に早く終わったり、楽しいと感じたり......。
でも、最初に面倒だと思ってしまうと、何も始まりません。
「私なら、まずはやってみます!」
執着を手放して送り出す
お気に入りのアクセサリーや食器も、出番が減ったら、似合う人、活用しくれる人に、迷わず差し上げます。
「一番輝く場所へと送り出す」がモットー。
正しいことより楽しいこと
年齢とともに、仕事や人づきあいに自分なりの“正解”ができてきます。でも、自己主張はほどほどに。
弓さんルールは「どうすればみんなが楽しいか」です。
美しい佇まいであるために
伸びた背筋に軽快な歩き方。きれいにアイロンを当てた服。磨いた靴。
おしゃれな人は洋服のセンスだけではなく、「佇まい」そのものが美しいと、弓さんはいいます。
“嫉妬”、“やっかみ”、“卑屈な気持ち”、“心配”を育てないこと
心を疲弊させる4つのこと。
「芽生えたら、何かに没頭して忘れてしまいましょう」
弓さん自身も心配性で、クロードさんにときどき注意をされるそうです。
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<撮影/ジャン・クロード・シャロー、齋藤順子、山川修一 取材・文/髙場実乃>
弓・シャロー(ゆみ・しゃろー)
1938年、東京生まれ。パリで「プチバトー」などのデザイナーとして活躍するほか、ファッション関連の仕事に携わる。現在はパリ郊外の自宅で夫とふたり暮らし。著書に『100歳までパリジェンヌ!』(扶桑社)ほかがある。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです