上に伸びる姿が愛しい「豆苗」の再生栽培
根元で切って食べ、水栽培をして伸びたらまた食べる。豆苗の再生栽培は、多くの方がトライしたことがあるかと思います。私も長年、そうして楽しんできました。
でもずっと、ぎっしりと詰まった大量の種を捨てることに罪悪感がありました。
ある日、ふと種をばらして手に取ってみると、しっかりと根を伸ばし、茎もまっすぐに上を目指す、生きようとしている姿そのものでした。
育てずにはいられなくなり、庭のブラックベリーの隣に植えました。
豆苗はエンドウの仲間です。よく見ると袋にもそう書いてあります。育ててみると絹さやそのもの。同じエンドウなので当たり前なのですが、初回は驚いてしまいました。
見惚れるほどの美しい花が咲き、可愛い実が付きました。いくつかは収穫せずにいると、実が膨らんでスナップエンドウのように、もっと膨らんだらグリーンピースになりました。
その後は、実を付けたまま枯れ、鞘を開いてみると茶色い豆が。豆苗の種から、また種に戻ったのです。
エンドウの仲間は冷涼な気候が得意です。家庭菜園でエンドウを育てる場合、一般的に秋に種蒔きをして、幼苗で越冬させます。これは本葉が2、3枚の頃が一番耐寒性が高いからだそう。
これに倣い、豆苗を使ってエンドウを育てる場合は、秋後半にコンテナに植えます。冬になる前に根付けば、春先に楽しい収穫が待っています。
豆苗を再生栽培してみよう
豆苗ってどんな野菜?
● 育てやすさ | とても育てやすい |
● 蒔きどき | 秋 |
● 育てる場所 | 日なた |
豆苗の育て方
1 豆苗の根元をばらし、背の低いものを選び、茎や根を折らないように種を取り出す。
2 棒などで土に穴を開け、発芽した状態になるよう種を入れる。周辺の土を寄せて押さえる。新しい芽が出るまで、土が乾かないように管理する。
【再生栽培について】
・「育てやすさ」「育てどき」「育てる場所」については、著者の経験をもとに記載しています。
・食材だった植物を栽培し、収穫物を食用として利用したことを紹介していますが、あくまで著者の経験によるものであり、食べられることを保証するものではありません。
・紹介している栽培や育成方法、植物の生長などは関東南部を基準地としています。お住まいの地域、環境、品種により異なります。
・種や苗の譲渡については種苗法に従ってください。詳しくは農林水産省のHPなどでご確認ください。
・特定の植物にアレルギー症状の出る方、妊娠中・授乳中の方、病気治療中の方、体質などに心配のある方は、栽培を始める前に、かかりつけの医師にご相談ください。
・掲載している情報・データは2024年6月時点のものです。
〈撮影/良原リエ〉
※ 本記事は『もういちど育てる庭図鑑』(アノニマ・スタジオ)からの抜粋です。
良原リエ
音楽家。アコーディオンやトイピアノ、トイ楽器の演奏、さまざまなジャンルの音楽制作に関わる。庭仕事は一番のライフワーク。特にハーブや雑草をこよなく愛する。都会の住宅街で、多様な生きものが棲むビオトープガーデンを目指し、実験を重ねている。著書に『食べられる庭図鑑』『たのしい手づくり子そだて』『まいにちの子そだてべんとう』(アノニマ・スタジオ)、『トイ楽器の本』(DU BOOKS)、『音楽家の台所』(コノハナブックス)など。
インスタグラム:@rieaccordion
著書『食べられる庭図鑑』インスタグラム:@rieaccordion_garden