大輪の花も楽しみな「にんじん」の再生栽培
にんじんの美味しい季節と言えば、冬。甘味が強くなって、いくらでも食べられるなと思います。
ですが、とある年末、『食べられる庭図鑑』の執筆で完全にキャパオーバーとなっていた私は、にんじんをあちこちに3箇所もオーダーしてしまっていました。続々と届くにんじん。え? またにんじん? と困惑の家族。あの手この手のレシピで調理し続けても、近所に配ってもなくならないにんじん。
仕方なく私は、食べ頃を逃したにんじんを庭で植物として育てることにしました。にんじんがすっぽりと入るくらいの穴を開け、立てるようににんじんを突っ込み、頭が少し見える程度に埋めていったのです。
春先に、リボベジでよく見るフサフサの葉が生えた後、気温が上がるとぐんぐんと茎を伸ばし、あっという間に大きくなっていきました。1mは優に超え、息子の背丈ほどになるものも。
背をしっかり伸ばした後に、大きな白い花が付きました。セリ科らしい白い小花が集まった大輪の花。その花の優雅なこと! 庭のあちこちに白い花が揺れる光景があまりにも美しくて、過剰にオーダーした自分を褒めたのでした。
あれから毎年、私は冬にんじんを植えています。眺めるだけでも十二分な満足感があるからです。花を見たいがためににんじんを育てるのです。
にんじんを再生栽培してみよう
にんじんってどんな野菜?
● 育てやすさ | とても育てやすい |
● 蒔きどき | 冬から春 |
● 育てる場所 | 日なた |
にんじんの育て方
1 にんじんを半分に切る(そのままでも良い)。
2 ヘタが土の上に出るように植える。屋外の雨があたる場所に置き、春を待つ。
【再生栽培について】
・「育てやすさ」「育てどき」「育てる場所」については、著者の経験をもとに記載しています。
・食材だった植物を栽培し、収穫物を食用として利用したことを紹介していますが、あくまで著者の経験によるものであり、食べられることを保証するものではありません。
・紹介している栽培や育成方法、植物の生長などは関東南部を基準地としています。お住まいの地域、環境、品種により異なります。
・種や苗の譲渡については種苗法に従ってください。詳しくは農林水産省のHPなどでご確認ください。
・特定の植物にアレルギー症状の出る方、妊娠中・授乳中の方、病気治療中の方、体質などに心配のある方は、栽培を始める前に、かかりつけの医師にご相談ください。
・掲載している情報・データは2024年6月時点のものです。
〈撮影/良原リエ〉
※ 本記事は『もういちど育てる庭図鑑』(アノニマ・スタジオ)からの抜粋です。
良原リエ
音楽家。アコーディオンやトイピアノ、トイ楽器の演奏、さまざまなジャンルの音楽制作に関わる。庭仕事は一番のライフワーク。特にハーブや雑草をこよなく愛する。都会の住宅街で、多様な生きものが棲むビオトープガーデンを目指し、実験を重ねている。著書に『食べられる庭図鑑』『たのしい手づくり子そだて』『まいにちの子そだてべんとう』(アノニマ・スタジオ)、『トイ楽器の本』(DU BOOKS)、『音楽家の台所』(コノハナブックス)など。
インスタグラム:@rieaccordion
著書『食べられる庭図鑑』インスタグラム:@rieaccordion_garden