• 生きづらさを抱えながら、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていた咲セリさん。不治の病を抱える1匹の猫と出会い、その人生が少しずつ、変化していきます。生きづらい世界のなかで、猫が教えてくれたこと。猫と人がともに支えあって生きる、ひとつの物語が始まります。猫と暮らす際の「におい」のお話。

    10匹も猫がいる我が家

    いたずらや、ごはんのこと、何かと大変なことはありますが、実は密かに、そして一番気になることがあります。それは、「におい」

    普段はあまり来客のない家ですが、たまには友人とホームパーティーを開きたい。そんなとき、思うのです。

    「うちって、すごく動物くさいのかな?」

    遡れば、まだ猫と暮らし始めてすぐの頃。ブログをしていてランキング上位にいると、いろんなペット用品の会社さんからプロモーションのご依頼がありました。猫のおもちゃやフードなど。食べ物は病院のものを食べていたのでご協力することはできませんでしたが、それ以外のものは「無料で使える」ということで、もっと快適な猫ライフを、と積極的に使わせていただきました。

    その中にあったのです。「猫を飼っている家の臭いを消すアロマ」というものが。

    画像: 10匹も猫がいる我が家

    知らずに使ってしまうこともあるアロマ

    当時、まだ知識もなかった私は、一番気になっていた臭いを何とかできるのだと、深く考えもせずその商品を使いはじめました。そして、律儀にもブログにそのことをご紹介したとき、親切な読者の方にご指摘を受けたのです。

    「猫にアロマは危険ですよ!」

    真っ青になって調べました。すると、元来肉食動物である猫は、体内に植物を消化分解する酵素を持っておらず、そのため、万が一猫がアロマオイルに含まれる植物由来の成分を口にすると、中毒を引き起こしてしまうというのです。

    その時の症状はこんな感じだそうです。

    ・元気がなくなる

    ・食欲低下

    ・涙を流す

    ・嘔吐や下痢

    ・神経症状

    ・運動失調

    ・抑うつ状態

    幸い、私は早期にご指摘を受け、そのような状態にはなりませんでしたが、それ以来、アロマを完全に遠ざけるようになりました。

    アロマの危険性は、直接摂取しなくても、部屋の空気中に拡散させる芳香浴だけでも安心はできないといいます。猫は頻繁に毛づくろいをするため、毛についた成分を体内に取り込んでしまうからです。

    画像: 知らずに使ってしまうこともあるアロマ

    猫に安全な消臭剤を選ぶ

    とはいえ、あまりににおいのきつい家では、お客さまもくつろげません。そこで、我が家では「猫のために開発された、舐めても安全な天然成分100%の消臭剤」を使っています。

    猫用の消臭剤はいろいろありますので、どんな臭いを消臭するために使うのかが大切なのだとか。

    ・置き型タイプ → 部屋にこもった体臭やトイレの臭いが気になるときに

    ・スプレータイプ → 布類や、外に持ち運ぶ飼い主さんのバッグなどにも

    ・消臭ビーズタイプ → トイレの砂に混ぜることで、悪臭をシャットアウト

    ・シートタイプ → トイレや床など、ちょっとした汚れをささっと拭ける

    アロマオイルは人間がリラックスできる、とても心地よいアイテムです。だけど、大切な猫ちゃんの健康を奪ってしまっては大変。

    「臭いでごまかす」のではなく「においのもとを消す」。体に安心のグッズで、猫がいても人を呼べる家をキープしたい。

    そして、訪れた方にも「猫って全然くさくない。一緒にいて安らぐ動物なんだなあ」と、また猫ファンを増やしたいと目論んでいるのです。

    画像1: 猫に安全な消臭剤を選ぶ

    画像2: 猫に安全な消臭剤を選ぶ

    咲セリ(さき・せり)
    1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。

    ブログ「ちいさなチカラ」



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