「調理科学」を知れば、経験や技術がなくてもおいしい料理がつくれる!
汁なし担々麺専門店『タンタンタイガー』の創業者で、現在は、会員制レストランを主宰、飲食業のレシピ開発などを行っている、「超料理マニアな料理人」の東山広樹さん。
中学生のころから料理が趣味でしたが、本格的に料理にのめり込んだのはいまから10年ほど前のこと。きっかけは、「調理科学」という概念に出合ったことでした。
それまでは、料理を上手につくるためには「料理人の長年の経験と勘」が必要とコツコツと積み重ねていましたが、科学的な考察と分析をして、それに基づいて調理をすれば、長年の経験や特別な技術がなくてもおいしい料理がつくれることを知ったのだそう。
本記事では、東山さんが考案した数々の調理科学に基づくレシピより、ジューシーでうま味たっぷり、プロが焼くようなステーキのつくり方をご紹介します。
肉が焼かれていることに気づかないほど「超弱火」で焼くのがポイント
フライパンでステーキをおいしく焼ける方法をずっと模索していた東山さん。
たどり着いたのは「肉に極力ストレスをかけない超弱火焼き」。
よく「切れ味のいい包丁で切られた食材は、切られたことに気づいていない」と冗談でいうように、「肉が焼かれていることに気づいてない」、そんな焼き方をすれば、ジューシーさとうま味が段違いに仕上がります。
「プロ並み家ステーキ」のつくり方
材料(1人分)
● 牛ステーキ肉(厚さが2cm以上の国産牛)(※1) | 200g |
● 塩(※2) | 適量 |
● 粗びきブラックペッパー | 適量 |
● 牛脂 | 1キューブ |
● サラダ油 | 小さじ2 |
※1:ステーキ肉は、必ず厚さが「2cm以上」の「国産牛」を。このどちらの条件が欠けてもうまく焼けません。
※2:東山さんのおすすめの塩は「ろく助」。うま味があり、一気に味が決まるのだそう。
つくり方
1 フッ素樹脂加工フライパンにサラダ油をひく。
2 冷蔵庫から出したてのステーキ肉の、表面の水分をクッキングペーパーで拭き取る。
※ 肉は常温に戻さず、必ず冷蔵庫から出したてのものを使用。
3 フライパンに肉を入れ、火をつけてもっとも弱い火力に設定する。
4 1分ごとにひっくり返しながら、10分焼く。
びっくりするほど肉を焼いている気がしないのですが、辛抱してください。序盤からジューッと音がしたらダメです。
5 スティック温度計を肉に刺し、芯温をはかる。55度になるまで1分ごとに肉をひっくり返し続ける。(温度計の使用を強く推奨しますが、ない場合は肉をトングでつかんで「ふにゃっ」とした感触が、弾力があるように変化したらOK)
6 肉を取り出して網付きバットにのせ、5分休ませる。
7 フライパンに残った油をきれいに拭き取り、牛脂を入れて中火で温める。
肉を最後に揚げ焼きしますが、比較的強い火力が必要なため、鉄フライパンを使って、温度調節機能がついていないカセットコンロで焼くのもおすすめです。
8 肉の表面を30秒ずつ焼いて焼き目をつける。
9 皿に盛り、塩とブラックペッパーを振ったら完成。
〈撮影/片桐 圭(Lingua franca)〉
※ 本記事は『スーパーの食材で究極の家庭料理』(大和書房)からの抜粋です。
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東山広樹(ひがしやま・ひろき)
超料理マニアな料理人
(株)マジでうまい代表取締役
汁なし担々麺専門店『タンタンタイガー』の創業者。現在は、会員制レストランを主宰、飲食業のレシピ開発などを行っている。年間400 軒超の飲食店を食べ歩きし、料理のおいしさについてとことん追求。日本一マニアックな料理ブログ『Cooking Maniac』も運営している。
X(@h_gashiyama)のフォロワー数は5.5万人超(2024年7月現在)。
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