• 大人世代が抱える「こころとからだ」のお悩みや疑問について、頭痛・漢方専門「らいむらクリニック」の來村昌紀先生が、やさしく回答。今回は、慢性的な肩こり・腰痛がつらいという、サッチモさんのお悩みにアドバイスをお送りします。

    : 慢性的な肩こりと腰痛が、在宅ワークで悪化。対策を教えてください!

    画像1: 「座りっぱなしで肩こり・腰痛がつらいです」慢性的な肩こり、腰痛の原因“血流”をよくする対策・食べもの・漢方|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    座りっぱなしで腰が限界です……

    慢性的な肩こりと腰痛に悩まされています。長時間PCとにらめっこするようなデスクワークが続いていて、座りっぱなしに。定期的に体を動かしたほうがいいとわかっていながらも、つい集中すると体がカチコチに固まってしまいます。

    腰痛は在宅勤務を始めてからとくに悪化しているようで、寝方も悪いのか、起きたときにすでにつらいです。なにか対策やアドバイスを教えていただけないでしょうか。

    (サッチモさん 30代/会社員)

    :長時間作業を控えて、血流をよくすることを意識しましょう

    画像2: 「座りっぱなしで肩こり・腰痛がつらいです」慢性的な肩こり、腰痛の原因“血流”をよくする対策・食べもの・漢方|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    筋肉をつけて首や腰を支えてあげることも大切です

    肩こり・腰痛の原因は、筋肉の緊張による血行不良

    今回はサッチモさんからの慢性的な肩こりと腰痛のお悩みのご相談です。

    肩こりは、長時間首や背中の筋肉が緊張するような猫背や前かがみの姿勢をとり続けたり、冷房などの風に当たり続けたりすることによって、頭や腕を支える「僧帽筋(ぞうぼうきん)」、「肩甲挙筋(けんこうきょきん)、「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」などの筋肉の持続的な緊張が起こり、そのため血流が悪くなり、酸素や栄養分が末端まで届かなくなって、こりの原因となる疲労物質が蓄積するために起こると言われています。

    腰痛も同じく長時間同じ姿勢を続けることで、腰の筋肉が緊張して血流が悪くなり、痛みの原因となる物質が蓄積して発生します。

    またサッチモさんのように寝具が合わないために腰に負担がかかり、朝起きた時にすでに腰が痛くなってしまう場合もあります。

    休憩はこまめに。15分に1回の休憩が理想です

    対策としては、サッチモさんの場合には長時間の同じ姿勢でのデスクワークと寝具があっていないところから慢性的な肩こりと腰痛がきていると思われますので、まずはデスクワーク作業中に休憩をとり、長時間作業を継続するのを控えるのが重要です。

    15分に1回は休憩を入れるのが理想なのですが、それが難しい場合には30分に1回でもよいので、数分の休憩を入れるとだいぶ違うと思います。

    15分タイマーなどの便利なタイマーなども市販されていますし、携帯電話のアラーム機能などを使うのもよいかもしれませんね。

    たとえば60分仕事をして20分休憩するよりも、15分おきに5分休憩を取っても同じく60分仕事をして20分休憩することになるのですが、15分おきに休憩をとる方が仕事の効率は上がることが知られています。

    寝具は布団やマットレスがやわらかすぎる、かたすぎる、枕の高さが高すぎる、低すぎるなど、体に合っていないものを用いることによって腰や首に負担がかかります。

    これは体重や背骨の湾曲によって合う合わないが変わってきます。

    現在では寝具メーカーで測定器を用いて体にあった寝具をオーダーメイドしてくれますし、整形外科などでも相談に乗ってもらえるところもあります。

    肩こり、腰痛の予防には筋肉をつけることが大切

    肩こりや腰痛の予防としてストレッチをして筋肉を和らげ、血流をよくしたり、適度な運動で筋肉をつけることも大切です。

    筋肉をつけることでしっかりと頭や腰を支えることができるようになるので肩こりや腰痛が起こりにくくなります。

    よく、重量上げの選手が腰にベルトを巻いていたり、お相撲さんがまわしを巻いていますよね。あれは腰の負担を軽減する目的もあるのですが、腹筋や背筋をつけることによって自分の筋肉がベルトやまわしの役目を果たしてくれるようになります。

    肩こりや腰痛におすすめの食べもの

    肩こりや腰痛によい栄養素や食べものは、疲労物質の蓄積を防いだり、血流をよくしたりするものがおすすめです。

    具体的にはビタミンB1はブドウ糖がエネルギーとして使われる時に必要なビタミンなのですが、精製した白米や小麦粉、砂糖を多くとる現代人には不足しがちなビタミンです。ビタミンB1は豚肉大豆ごまなどに豊富に含まれています。またビタミンB1はねぎなどに多く含まれるアリシンと合わせてとると効果が高まることが知られています。

    ビタミンB6は細胞がタンパク質からエネルギーを生み出すために必要なビタミンで、カツオマグロニンニクなどに多く含まれています。カツオやマグロが1日中泳いでも疲れないのを見てもビタミンB6の効果がわかると思います。

    ビタミンB12は末梢神経の働きを保つのに必要なビタミンで、しじみやアサリなどの貝類サンマイワシなどの青魚、鳥のレバーなどに多く含まれています。

    ビタミンEには末梢血管を広げ血流をよくする作用があり、アーモンドウナギに多く含まれています。また筋肉疲労を回復させるものにクエン酸があり、梅干し柑橘類に多く含まれています。

    肩こり、腰痛におすすめの漢方

    肩こりによい漢方薬としては温めて筋肉の緊張をほぐす葛根湯(かっこんとう)や血流をよくする桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、腰痛には同じく葛根湯や、筋肉の緊張や痛みを和らげる芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)、筋肉の元気をつける八味地黄丸(はちみじおうがん)、栄養状態や血流を改善する疎経活血湯(そけいかっけつとう)などが使用されます。

    肩こりや腰痛がひどく、持続する場合には頸椎や腰椎、腎臓などの病気の可能性もあるので、症状が続く、悪化する場合には一度は整形外科や泌尿器科なども受診されておくのが安心です。

    今回の記事がサッチモさん含め、慢性的な肩こりや腰痛に悩む皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

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    〈イラスト/コグレチエコ〉

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    來村昌紀(らいむら・まさき)

    頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
    YouTube:らいむらクリニック チャンネル
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