• 大人世代が抱える「こころとからだ」のお悩みや疑問について、頭痛・漢方専門「らいむらクリニック」の來村昌紀先生が、やさしく回答。今回は、上手に休むことができないという、NORIさんのお悩みにアドバイスをお送りします。

    : 休むことが苦手です。「意識」から変えたほうがよいのでしょうか?

    画像1: 「上手に休むことができません」すこやかに過ごすための「休み」の取り方・考え方|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    常に何かに追われている感じがします……

    休む、ということが上手にできません。仕事の量が多く、常に時間に追われている感じがして、抱えているものを少しでも減らそうと残業をしがちです。

    休日もメールの返信ができてないことや、平日に終わらなかった仕事が気になってしまったり、休んだ気がしないときがあります。

    仕事中に休憩をとったりサボったりするのも苦手な方です。適度に休んですこやかな状態で日常を過ごすには、どのように意識を変えていったらよいでしょうか?

    (NORIさん 40代/会社員)

    :「休み」は必要なことと自覚をもって、ルーチンに組み込みましょう

    画像2: 「上手に休むことができません」すこやかに過ごすための「休み」の取り方・考え方|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    「休憩力」をつけることが大切です

    脳の集中時間は「90分」が限界

    今回は上手に休むことができないというNORIさんからのご相談です。

    よく日本人は休み下手などとも言われますが、この休むための力を「休息力」とも呼んだりします。この「休息力」を高めるためには、技術や練習が必要です。

    まずは人間の脳の集中できる時間は90分が限界というデータがあります。上手に休むのも仕事のうちで、仕事ができる人ほど疲れる前に上手に、意識して休息をとっています。つまり最長でも90分仕事をしたら、間に休息をとって次の仕事に備えることが大切です。

    僕は年に数回大学で講義をしているのですが、大学の講義も90分授業です。それ以上だと学生さんが集中できないからだと思います。

    やることを整理して、疲れない習慣をつくりましょう

    NORIさんの場合には物理的に仕事量が多く、休みの時間をとりにくい状況にあると思います。本来なら、自分がすべき仕事としなくてもよい誰かに任せられる仕事があれば、できるだけ任せることができればよいと思います。それがなかなか難しい場合には、まずは仕事を効率よくこなし、休む時間を捻出することが大切ですね。

    そのためにやるべきことのリスト(To Doリスト)の作成や優先順位をつけてやるべきことからやっていくのもよいと思います。

    やるべきことを見える化して整理するだけでも脳内が整理されて、気分的には楽になると思います。

    また集中して仕事をしている時に電話やメールがきて、せっかくの集中が邪魔されてしまう場合もあると思います。このようなことがないように環境を整えることも大切です。

    たとえば重要な仕事は電話がかかってこない早朝にやってしまうとか、仕事中は電話に出ないメールを確認する時間を決めてそれ以外は見ないようにするなどもよいかもしれませんね。

    このような行動をルーチン化することで、脳は疲れにくくなります。

    子供のころ自転車に乗り始めた時はあれこれ考え、自転車に乗れるようになるまで苦労しても、いったん乗れるようになれば、何も考えなくても自転車に乗れるのと同じで、仕事の流れをルーチン化することによって脳が疲れにくく、休みをとりやすくなります。

    先に「休み」の予定を入れて、環境を整える

    また先に休みの予定を入れてしまうのもよいと思います。

    早朝に仕事を片づけしまい、8時から8時半は朝食とコーヒータイムとか、午後3時から3時半はコーヒータイム。あるいは月に一度は何もしない休日を予定として先に入れてしまうのもよいかもしれませんね。

    コップに大きめの石と小石、砂を入れるのを想像してみてください。まずは大きな石を入れて、次にその隙間に小石を入れて最後に砂を入れるとコップ一杯に大きな石、小石、砂を入れることができると思いますが、これが逆だとどうでしょう?

    先に砂と小石をコップに入れてしまうと多きな石が一つか二つ入らなくなるかもしれませんね。

    休むということに罪悪感を覚える人もいると思いますが、一定のパフォーマンスを維持して仕事を継続し、よい成果を出すためには、きちんと休息をとって疲労を回復することが必要です。

    まずは休みをとることは大切で必要なことと自覚し、優先順位を上げてください。

    先ほどの大きな石に「休み」をあて、先に「休み」を入れるという考え方にシフトし、休むための環境を整えることも大切です。

    おすすめの休み方

    休みの種類は、日々の小さなルーチンであれば、仕事中に10分の昼寝瞑想、時間を決めてストレッチ、帰宅後にはお風呂にお湯をためてゆっくり入浴する、寝る前にアロマや音楽でリラックスするなどもよいと思います。

    大きな休みであれば、休みの日は映画読書、ランニングなどの運動ドライブレジャースパマッサージに行くなど、ご自分の趣味にあったものならなんでもよいと思いますし、仕事と同じように休息の取り方、休日の過ごし方を計画し実行するのも楽しめると思います。

    今回の記事がうまくNORIさんはじめ、休み下手の皆さんの休息力を上げるご参考に少しでもなれば幸いです。

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    來村昌紀(らいむら・まさき)

    頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
    YouTube:らいむらクリニック チャンネル
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